研究課題/領域番号 |
23591461
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中川 竜介 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (10360603)
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キーワード | アレルギー / 粘膜免疫 / 食品 / 微生物 |
研究概要 |
Th17細胞を誘導する細菌、または食物による経口寛容誘導と恒常性維持法の開発 (機能性食品によるアレルギー発症予防法の開発) ライフイノベーションの観点から日常の食生活の中で食物アレルギーの制御が理想的と考えるため、腸内に共生しうる細菌を含んだ機能性食品のなかでTh17細胞の誘導または機能を増強するものを選抜することを当初の目標としていた。 IL-17の欠如は、通常の個体では起こりえない。そのため、conventional名環境下で飼育されているマウスではIL-17の投与によってむしろ食物アレルギーが悪化することが判明した。これは肥満細胞の活性化を誘導することが大きな原因であることも証明できた。しかし、当初のIL-17生産誘導による食物アレルギー発症予防は、意味のないことであろうか、という疑問がおこる。 germ freeマウス、抗生物質投与マウスなど、腸内細菌を持たないマウスではIL-23/IL-17の生産が抑制されており、しかも食物アレルギー感受性が高い。このようなマウスにIL-17を投与したところ、食物アレルギーの症状が緩和された。このため、腸内細菌を持たない状況下では、IL-17の投与、あるいはIL-17生産誘導は発症予防に効果があるものと示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文投稿を完了する予定であったが、IL-17による食物アレルギー予防効果がgerm freeマウス、あるいは抗生物質投与マウスといった腸内細菌を欠損する個体によることを見いだすのに予想以上の時間が経過した。
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今後の研究の推進方策 |
既に論文投稿を完了しており、査読者からの追加事項に対応する準備を進めている。具体的には、IL-23/IL-17欠損マウス、あるいは腸内細菌を欠損したマウスの腸管固有層細胞の解析をさらに詳細に実施すること。および、IL-17によるTh2サイトカイン生産阻害メカニズムについて、group 2 innate lymphoid cellの中でおこっている詳細な事象を解析している。
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次年度の研究費の使用計画 |
追加実験が生じ、実施と成果の取得に要する時間が予想を超えて経過したため。当初の予定では論文を投稿にあたって、英文校正費用、投稿費用等に充当することにしていたが、これらの費用を未使用のまま研究期間を終えることになった。 査読者からの追加事項に対応するため、実験動物の購入と試薬の購入費用に充当する。
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