無菌マウスおよび、抗生物質によって腸内細菌を除去したマウスではIgE依存的な食物アレルギーへの感受性が高いことが知られている。本研究の成果として、以下のことが判明した。①腸内細菌を持たないマウスでは腸管粘膜でgroup2 innate lymphoid cell (ILC2)の増加が見られる。②腸内細菌を持たないマウスでは腸管粘膜でinterleukin(IL)-25とIL-33の生産が亢進している。③これらの現象により、腸管粘膜経由で抗原を感作(ovalbumin (OVA)+ cholera toxin)した際に、通常のマウスに比べてILC2からIL-5とIL-13を多く生産するため、アレルギー感受性が増す。④IL-17とIL-22は腸内細菌が存在すると、主にT細胞から生産される。よって、腸内細菌を欠くと、粘膜でのこれらのサイトカイン生産量は劇的に減少する。⑤IL-17とIL-22 knockout (KO)マウスではアレルギー感受性が増していた。⑥そのメカニズムはIL-17とIL-22がILC2からのサイトカイン生産を抑制すること、および上皮細胞からのIL-25とIL-33分泌を抑制することの2つの経路による。 以上のことから腸内細菌叢が生み出すシグナルは、T細胞からIL-17とIL-22の生産を介して食物抗原に対するIgE生産を抑制し、アレルギー抵抗性を付与することが判明した。
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