研究概要 |
原発性PAH患者と膠原病性PAHのサイトカインプロファイリングを比較検討し、その病態の鑑別が可能であるかどうかを検討した。対象は、当科で診断された膠原病性肺高血圧症の患者群11例(SSc 6, PM2, RA2, SLE1 61.7±8.4才, 男/女:1/9、)、国立病院機構岡山医療センター循環器内科の患者群14例(IPAH5, CTEPH9, 53.2±19.8才, 男/女:4/10)。各群の臨床指標、血清中のサイトカインをBio-Plex cytokine array(27-plex, 21-plex)を用いて検討した。 結果:両群で、mPA(25.5±6.6 vs.52.6±30.3mmHg, p=0.0002), PVR(142.0±72.8vs.981.5±495.6 dyne*sec*cm-5, p<0.0001)に有意差を認めたが、6MW,BNPでは有意差は認めなかった。サイトカインの網羅解析では、IL-7, IL-8, Eotaxin, IL-12p40, IL-16, TRAIL, HGF (553.6±485.4 vs.8392.9±11187.8pg/ml, p=0.0209), IFN-α2で両群に有意差を認め、各臨床指標との相関性は、Borg scaleはIFN-α2(R0.53, p=0.009),PCWPはMCP-1(R0.60, p<0.0001)と正相関、PVRはEotaxin(R0.59,p=0.0213)と逆相関を示し、年齢、BMIで調整後も有意であった。6MWは%DLCO,mPAはΔPと相関を示した。年齢、HGF、SCGFβを用いて、ロジスティック回帰分析したところ,膠原病性、IPAH、CETPHの誤判別率が4%(1/25) を示し(R0.797,p<0.0001)、3群の鑑別が、サイトカイン測定により可能であることが示唆された。
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