研究課題/領域番号 |
23591463
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
有信 洋二郎 九州大学, 大学病院, 助教 (90467928)
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研究分担者 |
赤司 浩一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80380385)
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キーワード | IL-25 / 好酸球前駆細胞 / 顆粒球/単球系前駆細胞 / IL-17RB |
研究概要 |
我々は昨年度までに、マウス好酸球前駆細胞(Eosinophil progenitor; EoP)が、マウス造血系における唯一のIL-17RB発現細胞であること、またIL-25やIL-17B刺激は、EoPのIL-13mRNA発現を上昇させる一方、EoPの増殖や生存には影響を与えないことを報告した。 (結果1) in vitro解析: 昨年度までの結果を蛋白レベルで確認した。mRNAレベルで認めたIL-25やIL-17B刺激によるEoPでのIL-13発現誘導は、蛋白レベル(Intracellular staining)では確認できなかった。 (結果2) in vivo解析: しかし、i.p.によるIL-25のin vivo投与にて、骨髄でのEoP分画の著明な増大を認めた。同様の作用はIL-17Bには認めなかった。結果1に示す様に、IL-25のEoPに対する直接作用は証明できていない為、骨髄でのIL-25によるEoP分画増大は、EoP以外の集団にIL-25が作用した結果生じた可能性を考えた。 (結果3) IL-17RB発現GMPは、大半が好酸球に分化する: 骨髄球系細胞でのIL-17RB発現細胞を再検討した。EoP以外に、顆粒球/単球系前駆細胞(Granulocyte/monocyte progenitor; GMP)にわずかにIL-17RBを発現を認めた。IL-17RB陰性GMPを培養すると様々な骨髄球系細胞に分化し、GMPとしての多分化能が維持されていたのに対し、IL-17RB陽性GMPは、大半が好酸球に分化した。好酸球への系統選択は、IL-17RB陰性GMPがIL-17RB陽性GMPに分化する段階で起こっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請時の実験計画では、EoPに対するIL-25の作用を中心に研究を進める予定であった。しかし、研究実績の概要に示した様に、解析の中心が、EoPからGMPに移りつつあり、計画とは若干異なってきている。 IL-25の作用は、末梢でのアレルギー性炎症惹起作用ではなく、中枢での分化制御作用である可能性が考えられ、大変興味深い。今後は、研究対象細胞を拡大して、更に実験を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究対象細胞に、EoPのみでなくGMPも含め進めていく。 (計画1)IL-17RB発現GMPに対するIL-25の作用: IL-17RB発現GMPは大半が好酸球に分化する。しかし、現在までにIL-25がIL-17RB発現GMPに直接作用して、好酸球への系統を選択させているのか、または生存増殖をサポートしているのかは不明である。IL-17RB発現GMPに対するIL-25の作用(系統選択、生存、増殖)を、single cell colony assay、Ki-67染色、アネキシン染色、サイトカイン産生能(qPCR, Intracellular staining)などにて探索する。 (計画2)IL-17RB発現細胞GMPへの系統選択メカニズム: 計画1にて、IL-25のIL-17RB発現GMPへの作用が確認されなかった場合でも、GMP stageにおけるIL-17RB発現が好酸球への系統選択を標識していることは変わらない。IL-17RB陽性/陰性GMPの遺伝子profilingを行い、GMP stageにて好酸球への系統選択を決定している因子を探索する。同定した遺伝子の導入実験により、実際に系統選択が制御されているかを検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の様に、当初の実験計画とは方向性がやや異なってきた為、予定の遅延、研究費の繰り越しが生じている。次年度は、解析細胞集団を拡大した上で、予定通りの実験、更にはより発展した実験を遂行したい。 (1)当初の実験計画に沿った実験費用として: 各種サイトカイン、FACS用抗体、qPCR, ELISA, Intracellular staing用試薬、マウスの購入・維持、各種学会への参加 (2)解析細胞の拡大に伴う実験費用として: GMPに対するmicroarray解析、遺伝子導入用コンストラクトの作成
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