研究概要 |
我々は昨年度までに、(1)マウス好酸球前駆細胞(Eosinophil progenitor; EoP)が、マウス造血系で唯一のIL-25受容体発現細胞であること、(2)IL-25をマウスにin vivo投与すると、骨髄中のEoPが増加することを報告してきた。今年度は、IL-25がEoPに与える作用を網羅的にスクリーニングする目的にて、IL-25投与マウスにおけるEoPのmicroarray解析を行った。またEoPと同じ上皮細胞由来サイトカイン(Epithelial cell-derived cytokine)に属するIL-33の、EoPを含む骨髄球系前駆細胞群への関与についても検討した。 (結果1)IL-25 in vivo投与マウス由来のEoPでは、IL-25受容体下流の分子(TRAF6, PCNA, Bcl-2)及び好酸球関連分子(Alox5, Ears)の発現が上昇していた。 (結果2)EoPは、IL-33受容体も発現していた。これに加え、好塩基球前駆細胞(Basophil progenitor; BaP)、肥満細胞前駆細胞(Mast cell progenitor; MCP)にもIL-33受容体発現を認めた。 (結果3)IL-33刺激を受けたEoP, BaP, MCPでは、向炎症性サイトカイン(TNF-a, IL-1, IL-6)、Th2サイトカイン(IL-4,IL-9, IL-13)のmRNAの発現が上昇していた。 (結果4)IL-33刺激を受けたEoP, BaP, MCPは、増殖せずに細胞死の方向に向かった。 (結果5)IL-33のin vivo投与は、IL-25と同様に骨髄中EoPを増加させた。この増加は、IL-33反応性ILCからのIL-5産生を介して、生じていた。
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