研究課題/領域番号 |
23591466
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
松下 祥 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50167649)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / CoA / ドパミン受容体 / 潰瘍性大腸炎 / 乾癬 / 好中球気道炎症 / wogonin |
研究概要 |
DCをはじめとするAPCは病原体などを認識すると、その性質を変化させ、その影響を受けてT細胞は分化を開始する。これまでCD4陽性T細胞はその産生サイトカインの異なるTh1細胞及びTh2細胞に分化すると考えられてきた。しかし近年、プロ炎症性サイトカインIL-17を大量に産生するTh17サブセットが報告され、多発性硬化症のモデルマウス(EAE)や関節リウマチのモデルマウス(CIA)の研究より、Th17がそれらの病態に深く関与していることが報告されている。 今年度は、上記の疾患モデルマウスに加えて新たに「潰瘍性大腸炎モデル」「乾癬モデル」について検討を行った。具体的には硫酸デキストランの自由飲水により「潰瘍性大腸炎」、カードランの経口投与、または腹腔内投与と経口投与の並行実施により「乾癬」を誘導した。カードランがin vivoの系でも同様の活性を有するかについての検討を皮膚炎発症マウスであるNC/Ngaマウス、BALB/cやSJLマウスを用いて行い皮膚炎スコア、掻破行動および皮膚病理で評価した。なお生体内でT細胞がTh17に偏っているかについて、末梢血や脾臓より分離したT細胞や末梢血のサイトカイン定量によって行った。 「乾癬モデル」に至っては経口投与から約4~5か月しないと皮膚所見が現れないことが判明した。腹腔内投与との並行実験を行ったが、明らかな皮膚所見を得るためには十分なカードラン投与が必要となる。当初の予想より遅い進度となっているが、引き続き十分な検討を行いたい。また、新たに漢方薬の成分であるwogoninがTh17分化抑制活性を有することを好中球性気道炎症モデルで明らかにし、論文投稿準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに「潰瘍性大腸炎モデル」「乾癬モデル」での検討を行ったが、乾癬モデルに至っては経口投与から約4~5か月しないと皮膚所見が現れないことが判明し、腹腔内投与との並行実験を行ったが、明らかな皮膚所見を得るためには十分なカードラン投与が必要となる。当初の予想より遅い進度となっているが、引き続き十分な検討を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き抗D1様ドパミン受容体抗体のマウスTh17病モデルへの効果の検証を行う。 アンタゴニスト活性のある抗体をEAE、NOD、腎炎、RA、好中球性気管支喘息、潰瘍性大腸炎、乾癬の7つのマウスモデルで検証する。 効果がみられれば、抗ヒトD1様ドパミン受容体抗体を作製し、次の段階の臨床試験に備える。同様の検討を漢方薬の成分であるwogoninを用いて進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記に示した研究計画に沿って、試薬やモデルマウス作成に必要とある動物や機器類。また、情報収集のための学会発表等に研究費を使用する予定である。
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