研究課題
[目的」呼吸器合胞体ウイルス(RSV)と ライノウイルス(HRV)は気管支喘息の増悪と発症に深く関わっていることが報告されているが、その詳細な機序は不明である。第一の目的はRSVとHRVによるヒトマスト細胞活性化機構の解明である。第二の目的は、RSウイルス感染後に初めて喘鳴を起こした3歳未満の子供の喀痰中のマスト細胞トリプターゼが増加している症例が存在することを見出したことからトリプターゼ濃度が高い症例が喘息へ移行するのかを追跡調査をすることである。[方法]ヒトマスト細胞にRSVとHRVが直接感染するかをマスト細胞にウイルスを添加しreal time RT-PCR法でウイルスRNAの増幅、ウイルス蛋白の存在を免疫染色法にて調べた。末梢血由来培養マスト細胞、あるいは臍帯血由来培養マスト細胞を用いた。RSVあるいはHRVがヒトマスト細胞を直接活性化するかまたはIgE依存性の脱顆粒を増強するかをウイルス添加による脱顆粒の程度をヒスタミン遊離量を指標に調べた。RSV感染したヒト正常気道上皮細胞 (NHBE)のマスト細胞への影響を共培養の系とNHBEの細胞上清を用いる系を用いて検討した。RSVあるいはHRV感染後に初めて喘鳴を起こした3歳未満の子供の喀痰中のマスト細胞トリプターゼが増加している症例が喘息へ移行するのかを追跡調査した。[結果]ヒトマスト細胞にRSVは感染しなかった.RSVおよびHRVがヒトマスト細胞を直接活性化することはなく、IgE依存性の脱顆粒を統計学的有意には増強しなかった。RSVに感染したNHBEは、ヒトマスト細胞を直接活性化せず、またはIgE依存性の脱顆粒を増強しなかった。喘鳴を繰り返す、喘息の家族歴の患児の鼻汁・喀痰中のRANTESとTGF-betaが有意に高いことが分った。トリプターゼ濃度は有意差がなかった。[結論]RSVとHRVによる細気管支炎において何らかの機序でマスト細胞の活性化は惹起されているが、その活性化が直接的に喘鳴を繰り返す要因ではなかった。
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