研究課題/領域番号 |
23591472
|
研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
藤村 茂 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (70295393)
|
研究分担者 |
渡辺 彰 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70220861)
|
キーワード | biofilm / MRSA / daptomycin |
研究概要 |
各種耐性菌によって形成されたbiofilmに対し、マクロライド系薬のクラリスロマイシン(CAM)とアジスロマイシン(AZM)のbiofilm破壊能を検討した。対象菌株は、いずれも臨床分離株であり菌種は、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性Haemophilus influenzae(BLNAR)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)、2剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA)とした。A.baumanniiは、感染症法に規定されている多剤耐性株が入手できなかったため、β-ラクタム系薬とキノロン系薬の2剤耐性株を用いてbiofilm形成およびマクロライド系薬による除去能を測定した。各種菌株によって形成されたbiofilmに対してマクロライド系薬を各1, 10, 100μg/mLで処理したところ、MRSA株と BLNAR株が形成したbiofilmに対し3濃度とも40%程度除去された。MDRP、MDRA、PRSPに対し濃度依存的に除去率は上昇し100μg/mL で50%程度除去されたが、血漿中濃度に近い1μg/mLでは、いずれも10%以下であり、臨床的biofilm除去効果は低いと考察された。細菌によるBiofilm産生は、人工関節や心臓の人工弁、人工呼吸器など医療用デバイスの装着がリスク因子であり、MRSAは整形外科や心臓血管外科、呼吸器内科領域で特に注意が必要である。そこで今回、biofilm除去能が最も高かったMRSAを対象に、デバイス感染のin vitroモデルを作成し、抗MRSA薬とマクロライド系薬の併用によるデバイス上のbiofilm形成MRSAの除去(除菌)効果を検討し、塩酸バンコマイシンとの併用が、24時間で優れた除菌効果を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度が最終年度となるが、秋ごろには国際学会での報告を予定しており、実験データが順調に出ている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は新規抗MRSA薬のダプトマイシンを併用した除去効果を検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ダプトマイシンを用いた実験は、これまでのバンコマイシンと同様の消耗品で対応可能である。したがって、研究費は、国際学会等の旅費に充てる予定である。
|