研究課題/領域番号 |
23591475
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
白川 利朗 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (70335446)
|
研究分担者 |
堀田 博 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40116249)
片山 高嶺 石川県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70346104)
|
キーワード | ビフィズス菌 / C型肝炎 / 治療ワクチン / 経口ワクチン |
研究概要 |
「研究概要」:現在、世界では約1億7千万人のC型肝炎ウイルス(HCV)キャリアーが存在していると推測され、我が国での感染者数も100万~200万人にのぼる。また日本では、肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝炎さらには肝硬変を発生母地として生じる肝細胞癌の80%弱がHCV抗体陽性との報告もある。C型慢性型肝炎の治療にはインターフェロンや抗ウイルス薬(リバビリン)の併用療法の確立などで治療成績が向上しているが、日本ではインターフェロンが効きにくい1b遺伝子型が約70%を占め、その根治率は約50%にとどまる。現在、C型慢性肝炎の治療成績を向上させる新規抗ウイルス薬や治療ワクチンの開発が強く望まれている。HCVの非構造タンパクNS3(nonstructural protein 3)は宿主タンパクとの相互作用により、HCVの増殖、持続感染に関与している。ヒト臨床検体やチンパンジーを用いた実験などにより、HCVの制御と排除にNS3特異的細胞性免疫が重要な役割を果たすことが判明している。今回の研究では、プロバイオティクスの代表的存在であるビフィズス菌の表層にNS3をディスプレイした全く新しいC型慢性肝炎経口治療ワクチンの研究開発を計画した。 「平成24年度の研究目標」:平成23年度に作製したNS3のCD4、CD8反応エピトープ領域を表層発現するビフィズス菌の評価を実施していく。 「平成24年度の実績」:NS3の一部エピトープタンパクの発現をWestern Blotting法にて、局在については蛍光顕微鏡にて確認した。また本ビフィズス菌をマウスに投与することにより、NS3特異的血清IgG抗体の産生と脾臓より抽出したリンパ球のNS3特異的細胞性免疫反応を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に作製した、NS3エピトープタンパク表層発現ワクチンがNS3タンパク特異的な免疫反応を惹起できることを動物実験にて確認することができ、研究計画はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
NS3表層発現ビフィズス菌は遺伝子組換え生物(LMO, Living Modified Organism)である。LMO拡散防止の観点から、本遺伝子組換えビフィズス菌の蛋白構造を温存したまま加熱殺菌することができれば、実用化の可能性が大いに高まる。本年度は、ワクチン効果が低下しない加熱条件を検出する予定である。またC型肝炎のマウス実験モデルは現存しないが、本治療ワクチンの有効性の確認手法として、マウスリンパ腫細胞、EL4にHCVのNS3/4A遺伝子を安定導入し、マウス皮下に移植し本ワクチン投与による腫瘍増殖抑制効果を確認する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本ワクチンの加熱殺菌条件の特定、NS3発現腫瘍マウスモデルを用いた有効性試験、などに使用する試薬、動物実験費、および成果発表のための論文校正費、学会発表のための旅費などに使用する予定である。
|