研究課題
現在、世界中で約1億7千万人のHCVキャリアーが存在すると推定され、インターフェロンのペグ化や抗ウイルス薬(リバビリン)の併用などによりC型慢性肝炎の治療成績は大幅に向上したものの、その根治率は未だ満足のいくものではない。HCVの制御あるいは排除にはHCV非構造タンパクNS3に対する細胞性免疫が大きな役割を果たしていることが示唆されており、今回の研究では、プロバイオティクスの代表的存在であるビフィズス菌の表層にNS3をディスプレイした全く新しいC型慢性肝炎経口治療ワクチンの研究開発を計画した。研究当初にHCVのNS3タンパク全長のビフィズス菌への導入、表層発現を試みたがうまくいかなかったので、HCVのNS3タンパクのCD4およびCD8エピトープを複数含んだポリペプチドをビフィズス菌表層ディスプレイに適した形にデザインし、NS3表層ディスプレイ・ビフィズス菌をC型慢性肝炎治療ワクチンとして作製した。さらに本ワクチンをマウスに投与する動物実験で、NS3特異的IgG抗体の産生とTh1反応の誘導、およびワクチン後のマウスの脾臓細胞をNS3タンパクで刺激することによりINF-γ発現CD4陽性リンパ球ならびにCD8陽性リンパ球の誘導をフローサイトメトリーで確認した。以上の結果により、本ワクチンの経口投与によりNS3特異的な細胞性免疫の誘導が確認され、本ワクチンについて臨床応用に向け今後も研究を継続する価値が十分にあることがか確認された。
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Vaccine
巻: 32 ページ: 3066-3074
10.1016/j.vaccine.2014.03.022
http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/research/t2014_03_20_02.html