研究課題/領域番号 |
23591477
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
矢野 仁康 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40304555)
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キーワード | インフルエンザ脳症 / エイズ脳症 / 高病原性鳥インフルエンザ / プロテアーゼ / ストレス蛋白質 |
研究概要 |
研究課題の目的は、インフルエンザ感染に伴う肺水腫、多臓器不全や脳症等インフルエンザの重症化について、感染による血管内皮細胞間の透過性亢進に着目しその発症機序を明らかにする事にある。インフルエンザ感染重症化で認められる、末梢の血管内皮細胞障害に基づく異常な血管透過性亢進状態は、ウイルス感染による血管内皮細胞間の結合破綻に基づいている。血管内皮細胞では、接着結合破綻が、血管内皮細胞の透過性亢進に重要となってくる事から、インフルエンザ感染による血管内皮細胞間の接着結合に与える影響について解析を行ってきた。これまでの研究から、1) インフルエンザ(PR8)に感染すると血管内皮細胞内のGSK3 beta が活性化される。2) 活性化されたGSK3 betaは、基質の一つであるの裏打ち蛋白質である beta-cateninをリン酸化する。3) beta-cateninがリン酸化されるとbeta-cateninのプロテアソームによる分解が誘導される。4) beta-cateninは分解される事でその発現が低下し、接着結合構成蛋白質であるVE-cadherinとの結合性を失う。5) これらの機序によって、インフルエンザに感染した血管内皮細胞間の接着結合が破綻し、血管内皮細胞障害の原因となる可能性が示唆されてきた。今回我々は、これらメカニズムの詳細を明らかにするため、上記プロセスの中の、インフルエンザウイルス感染によるGSK3 betaの活性化並びにbeta-cateninのリン酸化に着目し解析を行った。その結果、ウイルス感染時に認められる、GSK3 betaに依存したbeta-cateninのN末のSer33/37/Thr41のリン酸化が、プロテアソームによる分解を誘導し、血管内皮細胞間の接着結合を崩壊させ血管内皮細胞間の透過性の亢進を引き起こしている事を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) インフルエンザ感染重症化機構について、ウイルスによる血管内皮細胞間の接着結合障害機構を、血管内皮細胞培養系を用いて分子レベルで明らかにできたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) インフルエンザウイルスによる血管内皮細胞間の透過性亢進機構について、さらにその詳細を明らかにして行く。さらに、マウスを用いた動物実験で検証していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(次年度の研究費の使用計画) 本研究は実際の実験を施行するにあたり、培養細胞の継代維持、遺伝子組み換え操作が不可欠である。さらに、実験動物(C57/BL/6CrSlcマウス)、各種試薬、特異抗体、測定用キット等の購入が必要なため研究経費の多く(70%)は消耗品費に使用する。又、本研究で得られた研究成果を社会に発信するため、年2回の国内及び年1回の国際学会での成果発表を行う予定にしておりそのための旅費として使用する。
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