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2013 年度 実績報告書

インフルエンザとエイズ感染の重症化を決定する致死的宿主応答因子の解析と治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 23591477
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

矢野 仁康  滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40304555)

キーワードインフルエンザ脳症 / エイズ脳症 / 高病原性鳥インフルエンザ / プロテアーゼ / ストレス蛋白質
研究概要

インフルエンザ感染重症化で認められる末梢の血管内皮細胞の障害に基づく異常な血管透過性亢進状態は、ウイルス感染による血管内皮細胞間の結合破綻に基づいている。血管内皮細胞では、接着結合(アドヘレンスジャンクション)破綻が、血管内皮細胞の透過性亢進に重要となってくる。これまでの我々の研究から、先ず、インフルエンザ(PR8)に感染すると血管内皮細胞内のGSK3 betaが活性化され、基質の一つであるアドヘレンスジャンクションの裏打ち蛋白質である beta-cateninをリン酸化する。beta-cateninがリン酸化されるとこのプロテアソームによる分解が誘導される事でその発現が低下し、VE-cadherinとの結合性を失う。これによって血管内皮細胞間の接着結合が破綻し、血管内皮細胞障害がおこる可能性が示唆された。本研究においては、昨年度までに、上記プロセスの中の、インフルエンザ感染によるGSK3 betaの活性化並びにbeta-cateninのリン酸化に着目し解析を行った。その結果、ウイルス感染によるGSK3 betaに依存したbeta-cateninのN末のSer33/37/Thr41のリン酸化が、プロテアソームによる分解を誘導し、血管内皮細胞間のアドヘレンスジャンクションを崩壊させ血管内皮細胞間の透過性の亢進を引き起こしている事が明らかとなった。
最終年度では、今後の推進方策に従いこれらin vitroで得られた知見が実際にマウスを用いた実験で認められるかについて動物実験にて検証をおこなった。その結果、インフルエンザ(PR8)感染マウスにおいて、GSK3betaの活性化及びbeta-cateninの分解による発現低下が確認された。これらの結果は、アドヘレンスジャンクションを構成するbeta-cateninの感染によるGSK3beta依存的な分解が、重症インフルエンザ感染における血管内皮細胞間の透過性亢進機構の重要なメカニズムであることを示唆している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Ibuprofen enhances the anticancer activity of cisplatin in lung cancer cells by inhibiting the heat shock protein 70.2014

    • 著者名/発表者名
      H Endo, M Yano, Y Okumura, H Kido
    • 雑誌名

      Cell Death and Disease

      巻: 2014 Jan 30;5:e1027 ページ: e1027

    • DOI

      10.1038/cddis.2013.550

    • 査読あり
  • [学会発表] 酵素と感染症:タンパク質分解酵素によるインフルエンザ重症化機序

    • 著者名/発表者名
      矢野仁康
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会 第52回近畿支部大会
    • 発表場所
      滋賀県彦根市
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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