研究課題
本研究では、ピロリ菌ファージ KHP30 の粒子形状およびライフルサイクルの詳細な検討を行なった。まず、制作会社の異なる2種の透過型電子顕微鏡 (H-7100、JEM-1400Plus) を使用し、その形状を詳細に比較検討した。その結果、いずれの電子顕微鏡を使用した場合でも、KHP30ファージは尾部を保有しない球形ファージであることが確認された。先に報告したゲノムDNA塩基配列の特異性と合わせて、本ファージおよび我々が分離した他のファージKHP40と合わせて、新規 family を形成すると考えられた。KHP30 と KHP40は、形態およびゲノム構造が極めて類似しているが、宿主域は64%と45%と異なっており、リガンンドの構造あるいは菌側のリセプター分子が異なっていると考えられた。KHP30の増殖様式を推定するために、そのゲノム構造を詳細に検討した。本ファージは、部位特異的DNA組換え酵素(インテグラーゼ)遺伝子を保有していた。しかし、KHP30、KHP40ゲノムが菌ゲノムに挿入される兆候は見られず、少なくとも我々の培養条件では、本ファージのライフサイクルは溶菌的増殖と偽溶原性(エピゾームとして菌と共存)のみが認められた。多くのファージで共通する溶菌システム、ホリン(膜穿孔タンパク質)-ライシン(溶菌酵素)システムの遺伝子を検索したところ、ホリン遺伝子は推定できたが、通常その近辺に存在するライシン遺伝子の存在は検出できなかった。この結果から、本ファージが特殊なライシンをを保有しているか、通常のホリン-ライシンシステムとは異なる溶菌システムを保有していると予想された。
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