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2012 年度 実施状況報告書

多剤耐性緑膿菌感染症を制御する新しいシステムの構築-RNAiによる耐性遺伝子阻害

研究課題

研究課題/領域番号 23591479
研究機関大分大学

研究代表者

平松 和史  大分大学, 医学部, 准教授 (80301381)

研究分担者 門田 淳一  大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
キーワードsiRNA / 緑膿菌 / 薬剤耐性 / IMP-1
研究概要

前年度の本研究において設計した緑膿菌メタロβラクタマーゼIMP-1の遺伝子であるblaIMP-1に対するsiRNAの作成を行った。本年度は計13種類のsiRNAを作成した。作成したsiRNAが効率よく菌内に取り込まれているかどうかを検証するため、siRNAを蛍光色素で標識した。蛍光標識siRNAとIMP-1産生緑膿菌を混合し、共焦点レーザー顕微鏡にて菌の染色状況を観察したところ、蛍光発色する菌体は数%にすぎず、十分に菌へsiRNAが取り込まれていない可能性が考えられた。そのため、菌体内への取り込みを高効率にするためにcholesterolをsiRNAに結合し、同様に取り込みの状況について、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。100000CFU/mlの緑膿菌と蛍光標識+cholesterol結合siRNAを混合して経時的に観察したところ、24~48時間後にはほぼ100%の菌が蛍光発色しており、siRNAが効率よく取り込まれているものと考えられた。こうした結果を踏まえて、作成したsiRNA 13種のすべてにcholesterolを結合し、IMP-1産生緑膿菌と48時間培養した。その後、抗菌薬としてceftazidimeを64mg/Lとなるよう培地に添加し、6時間、12時間後の菌数の変化を検討した。Ceftazidime感受性のPAO-1株では、菌数は時間の経過とともに減少を認めていた。一方、13種類のsiRNAを作用させ、ceftazidimeを混合したいずれの群でもceftazidime非作用群と同様に菌数の増加を認めていた。このことは、今回行った検討ではsiRNAによるIMP-1産生の抑制効果を認めず、IMP-1産生緑膿菌に対するsiRNAとceftazidimeの併用効果を証明することはできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成24年度においては、siRNAの設計・作成および効率的な細菌内へのsiRNA導入法の検討を予定通り行い、効率的に菌内にsiRNAが取り込まれているものと考えられる結果であった。しかしながら、これまでに合成したsiRNAではIMP-1の産生を抑制し、ceftazidimeによる殺菌効果を検証することはできなかった。実験結果として有効なsiRNAを見い出すことができていないため、当初予定していたin vivoでのIMP-1産生緑膿菌感染症に対する抗菌薬とsiRNAの併用効果を検討することができておらず、本研究全体として達成度は「やや遅れている」ものと評価した。

今後の研究の推進方策

さらにblaIMP1に対するsiRNAに用いるオリゴヌクレオチド作成を行い、導入実験を実施する。またcholesterol付加以外のより効率的な緑膿菌内へのsiRNA導入法について検討を行う。IMP-1産生を抑制するsiRNAを見つけ出すことができれば、抗菌薬とsiRNAを緑膿菌感染症マウスモデルに投与し、in vivoでの効果を検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度作成できなかったsiRNA候補となるその他のオリゴヌクレオチド合成を外部企業に依頼する。また培地などの消耗品の購入を行い、平成24年度からの繰り越し分を含めて研究費の使用を計画している。

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公開日: 2014-07-24  

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