研究課題/領域番号 |
23591479
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
平松 和史 大分大学, 医学部, 准教授 (80301381)
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研究分担者 |
門田 淳一 大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
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キーワード | siRNA / 緑膿菌 / 薬剤耐性 / IMP-1 |
研究概要 |
平成23年度、24年度の本研究において様々な緑膿菌メタロβラクタマーゼIMP-1に対するsiRNAを設計し、それらにcholesterolを修飾し、IMP-1に対する阻害効果を検討したが、十分な効果を得ることができなかった。こうした結果は、菌内へsiRNAが十分に取り込まれていないことが、原因の一つの可能性として考えられた。そこで平成25年度は、さらに緑膿菌への取り込みを高効率とするため、cholesterol以外の修飾物質(glucoseおよびmethionine)をsiRNAに付加し、その効果を検証した。平成25年度に用いたsiRNAは昨年度までに設計、作成した13種類のsiRNAと異なる配列のsiRNAを用いて実験を行った。1000CFU/mlのメタロβラクタマーゼ産生緑膿菌に対して、glucose修飾siRNAあるいはmethionine修飾siRNAを培養開始後11時間まで1時間おきに添加し、同時にセフタジジムを投与して24時間培養を行った。培養後の菌数をコントロール(siRNA(-)、セフタジジム(-))群と比較したところ、glucose修飾siRNA投与群、methionine修飾siRNA投与群いずれも1/10から1/100の菌量の減少を認めた。しかしながら、いずれの修飾siRNA添加群においても培養開始24時間後の菌量は10000000~100000000CFU/mlに達し、siRNAの作用として緑膿菌のメタロβラクタマーゼ産生を抑制し、抗菌薬セフタジジムの分解を阻害してその効果を得るという十分な結果は得られず、その効果は限定的なものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、当初の予定では研究計画の最終年度であり、in vitroで高効率にIMP-1を抑制するsiRNAを見い出し、さらにはin vivoにおけるsiRNAの効果を検証する予定であった。しかしながら、これまでに合成したsiRNAではIMP-1の産生を抑制し、セフタジジムによる十分な殺菌効果を証明することはできておらず、本研究全体として達成度は「やや遅れている」ものと評価した。一方でわずかに増菌を抑制するsiRNAを見出すことには成功しており、平成25年度の本研究の進捗は大きなものがあった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に見出した修飾siRNAより、さらに高効率にIMP-1産生を阻害するsiRNAの開発を行う。そのために、blaIMP1に対する修飾siRNA作成を行い、導入実験を実施する。IMP-1産生を抑制するsiRNAを見つけ出すことができれば、抗菌薬とsiRNAをIMP-1産生緑膿菌感染症マウスモデルに投与し、in vivoでの効果を検討する。こうした検討を継続するため、本研究の研究期間を1年間延長した。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に高効率に菌内に取り込まれるsiRNAを見出し、in vivoにおける効果を検討する予定であった。しかしながら、IMP-1産生阻害に対する効果が限定的なsiRNAしか見出すことができず、in vivoの効果検証に用いる研究費に残余が生じた。 本研究を1年間延長し、より効果的にIMP-1産生を阻害するsiRNAを開発する。平成25年度に作成できなかったsiRNA候補となるその他のオリゴヌクレオチド合成を外部企業に依頼する。また培地などの消耗品の購入を行い、平成25年度からの繰り越し分を研究費としての使用する計画である。
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