研究課題/領域番号 |
23591480
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中村 敦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40285200)
|
研究分担者 |
加藤 秀章 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30418868)
|
キーワード | Clostridium difficile / 抗菌薬関連腸炎 / 毒素遺伝子 / Binary toxin |
研究概要 |
Clostridium difficile感染症(Clostridium difficile infection:CDI)は適切な診断・治療法が未だ確立されておらず臨床的課題が残されてる疾患である.最近では欧米におけるCDIの重篤化を反映し,我が国においても院内感染管理の面からも関心が高まってきている.本研究の目的は本菌の病原性とCDIの臨床像を明らかにし,的確な診断と治療法,適切な感染管理を確立することである. H25年度は,当院で臨床検体より分離されたC.difficileの毒素産生性検索およびタイピング,病状との関連性の検討を予定した. 臨床分離株の毒素産生性について,コロニーから直接釣菌し迅速診断キットを用いた毒素検出と分離菌の毒素遺伝子検索を行った. その結果,毒素を検出しなかった臨床検体から分離されたC.difficileの49%の株がコロニー再釣菌による迅速診断キットで毒素を検出し,86%の株から毒素遺伝子を検出した.この成績は現行の迅速診断法の限界を示しており,更なる好感度の検査の必要性が確認された.タイピングについてはリボタイプの結果が安定せず,H25年度には型別の解析はできなかった. 臨床像と毒素の関連性について,保存株の解析でBinary toxin遺伝子陽性を確認した症例に関する解析を行ったが,いずれも重症例はみられなかった.これは欧米で強毒株といわれるBI-NAP1-027株がではなかったこととが一因と考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究協力者の産休からの職場復帰の遅れと実験助手の産休入りが重なり,リボタイプの成績が安定せず解析が困難であった. 他施設との連携については,1施設ではC.difficileの水平伝播が広がり疫学解析に不向きであったこと,他の施設ではC.difficileの検出がほとんどみられなかったことから,解析に着手できなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
今後はタイピング成績の安定化をめざし,型別による臨床像の比較検討を行なう.また分離菌の薬剤感受性と臨床像の関連についても検討する. 他施設からの分離菌株が得られれば,これを解析して地域としてのCDIの情報の収集,共有化を図る.
|
次年度の研究費の使用計画 |
リボタイピングの安定した成績が得られず,リボタイピングの遂行が遅延したこと,薬剤感受性検査の委託業者との調整が難航し,遂行が遅延したことにより次年度使用額が生じた. 菌株解析,感受性検査に係る諸経費,人件費,他施設ネットワーク構築に係る施設利用費,謝金ならびに成果発表のための出張旅費,論文作成に係る諸費用などに充当する.
|