研究課題/領域番号 |
23591481
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
和田 裕雄 杏林大学, 医学部, 講師 (50407053)
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キーワード | 環境曝露 / 感染 / 喫煙 / 動物モデル |
研究概要 |
喫煙モデルマウスを用いた研究では、IL-10遺伝子欠損マウスで、好中球性炎症が増悪することが示された。このことから、喫煙が誘導する好中球性炎症には、IL-10の抑制的な制御が働いていることが示唆された。 一方、マイコプラズマ肺炎モデルでは、IL-17の発現と好中球性炎症が関連することが示唆された。感染症のマウスモデルでIL-10がIL-17を抑制することにより好中球性炎症が制御されているとする報告もあり、IL-10とIL-17とは喫煙や慢性の気道感染などの炎症を誘発する際に発現誘導され好中球性炎症を制御する分子と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、感染症モデルマウスの研究ではIL-17が重要であることが示され、研究の次の段階に進むための重要な結果と考えられた。また、喫煙モデルでは、IL-10遺伝子欠損マウスにタバコ曝露を行ったが、これまでに、遺伝子の発現、たん白レベルでは、予想通りの結果が得られた。以上の結果は期待された通りの結果であるため、平成26年度は当初の計画通り、これまでの研究を遂行する予定である。マウスの繁殖効率低下のために研究期間延長を申請したが、当初の研究計画通り研究を進めて行くことが可能である。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本喫煙曝露モデルと感染症モデルを用いてえられた研究結果を組織学的解析にて詳細に検討する予定である。 具体的には、これまでに、喫煙曝露モデルマウスにIL-10遺伝子欠損マウスを応用したところ、同マウスの遺伝子レベル、たん白レベルでの、IL-10遺伝子欠損の影響が明らかとなった。これらの結果を基に、今後は組織学的に検討を加える予定である。さらに免疫組織学的検討も試み、どの細胞が上記たん白を産生しているかも検討する。また、感染症モデルでIL-17の役割が明らかとなってきたことも踏まえ、IL-17の役割も検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に使用するマウスはヘテロ型遺伝子型を有するオスマウスとメスマウスとの交配により繁殖を試みている。しかし、交配しているマウスの高齢化により繁殖効率が低下し必要とする数のマウスが得られなくなってきたため、一部の実験を延期することとした。 あたらしい交配ペアを作り、効率よく交配・増殖を図ることとした。 現在、野生型マウス(C57Bl/6J、メス)とヘテロ型とを交配させたところ、73匹の仔マウスが得られた。そのうち、ヘテロ型マウスは♀21匹、♂16匹であった。これらを5月下旬より交配して開始し、7月中には本格的なマウスの生産が可能になる見通しである。
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