研究課題
マウスに対し喫煙を行うと、好中球が肺へ遊走し、肺組織でMMP-9が発現する。IL-10遺伝子欠損マウスに同様の喫煙曝露を行うと、この反応がさらに亢進することが明らかとなった。肺組織でのMMP-9発現が亢進するメカニズムとして、好中球のMMP-9の発現が亢進する、あるいは、MMP-9を発現する好中球の肺への遊走が増加する、の二通り考えられた。そこで、MMP-9の免疫染色を行い、さらに、タンパクレベルを検討した結果、肺でのMMP-9の発現亢進の主な要因は好中球の肺への遊走増加し、その好中球がMMP-9を発現しているため、MMP-9の肺での発現が亢進すると考えられた。従って、好中球の肺への遊走をコントロールするメカニズムにIL-10が関与していると考えられた。我々のこれまでの研究では、マイコプラズマ肺炎モデルマウスではIL-17が白血球の肺への遊走に関係していることが示されている。マイコプラズマ肺炎と喫煙曝露と相似性があり、両者に同様のメカニズムが存在していることが予想されていることから、本研究の喫煙曝露モデルでもIL-17が関与していることが予想された。実際、文献的には、寄生虫のモデルでの好中球の肺への遊走のメカニズムとしてIL-17が関与しており、IL-10はIL-17を抑制的に制御していることが示されている。以上から、喫煙曝露でも、IL-17をIL-10が抑制的に制御していることが予想された。我々の予備的検討ではIL-17のタンパクレベルでの明らかな変化は検出できなかったが、IL-17はAからFのファミリーを形成していること、さらに、必ずしも多量の発現がないことから、IL-17の遺伝子変異マウスの利用が有用と考えられた。
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http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/graduate/medicine/aboutus/outline/model/respir-med/