研究課題
日本人女性の腟分泌物から分離されるB群溶血性連鎖球菌group B Streptococcus:GBSは、妊婦では、分離頻度の高い順に、III型 12株(24.5%)、V型 7株(24.3%)、Ia型 6株(12.2%)、VI型 5株(10.2%)など、非妊婦では、Ia型 8株(16.3%)、Ib型 7株(14.3%)、III型 6株(12.2%)、V型 6株(12.2%)などとこれまでの疫学とは大きく変化している。日本人女性から分離されるGBSの血清型は、従来よりVI型、VIII型が中心であったが、今回の研究結果から、近年は欧米と同様にIII型、Ia型、Ib型、V型が急増していることが明らかになり、今後の継続的な監視が必要である。GBSの血清型Ia, Ib, III型は侵襲型であるとされているが、V型も侵襲性感染症を引き起こすことが明らかにされており、その意味でも継続的な疫学研究が望まれる。また、周産期GBS感染症発症予防のガイドラインではゴールドスタンダード薬としてペニシリン系抗菌薬が記載されているが、今回の我々の研究から日本人女性でも初めて腟内からペニシリン低感受性のGBSが検出されたことは特筆すべき事実である。ペニシリン低感受性GBSが増加すれば、周産期GBS感染症発症予防のガイドラインを改訂する必要性も出てくると考えられるため、GBSの薬剤耐性に関するサーベイランスも必須であることが明らかになった。なお、今回検出されたペニシリン耐性GBSの耐性機構は点変異であることが明らかになったことから、臨床現場では抗菌薬の適正使用の啓発がきわめて重要であることも示唆された。
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