ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)はHIV-1と同様にCD4陽性T細胞やマクロファージに感染し、感染細胞を死滅させる。HHV-6はHHV-6AとHHV-6Bに分けられ、HHV-6Aの初感染は不明であるが、HHV-6Bの初感染は突発性発疹である。HHV-6と宿主との関係についてはいまだに十分に理解されていない。我々は宿主細胞分子であるS100A8やS100A9の発現がHHV-6感染により誘導されることを明らかにした。本研究の目的は、S100A8、S100A9がHHV-6感染を制御するか否かについて解明するものである。S100A9がHHV-6BにコードされたU83タンパク質と相互作用することが確認されたが、HHV-6AにコードされたU83タンパク質とは結合しないことが明らかになった。また、ヒト肝ガン由来細胞株HepG2では、S100A9が発現し、HHV-6Aが感染することが明らかとなった。さらに、S100A8とS100A9がCD4陽性T細胞のMolt3細胞に作用し、HHV-6Bの増殖を有意に増加させることが明らかになった。
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