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2011 年度 実施状況報告書

強毒株クロストリディウム・デフィシル菌アウトブレイク防止体制構築についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 23591487
研究機関産業医科大学

研究代表者

芳川 一郎  産業医科大学, 大学病院, 准教授 (60210655)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワードクロストリディウム・デフィシル菌
研究概要

強毒株クロストリディウム・デフィシル菌アウトブレイク防止体制を構築するためにまず、高齢者長期療養型病院において同菌の保有状況を検討した。1)下痢などの腹部症状を認めていない入院患者170名に対して便培養(クロストリディウム・デフィシル菌分離培養)検査を行った。2)得られた同菌のトキシンA、トキシンB産生をPCR法で検討した。3)同菌の保有のリスク因子を検討するため内服薬の調査を行った。結果1)61名/170名(35.9%)においてクロストリディウム・デフィシル菌が陽性であった。2)トキシンについてはA-B+26検体、A+B+18検体、A-B-17検体であった。3)プロトンポンプ阻害薬服用者においては、20名/41名(48.8%)の保有率であった。プロトンポンプ阻害薬非服用者においては、41名/129名(31.8%)の保有率であった。プロトンポンプ阻害薬服用者においては、プロトンポンプ阻害薬非服用者と比較して有意に保有率が高かった(P=0.048)。ヒスタミン受容体拮抗薬服用者においては、18名/52名(34.6%)の保有率であった。ヒスタミン受容体拮抗薬非服用者においては、43名/118名(36.4%)の保有率であった。ヒスタミン受容体拮抗薬服用者においては、ヒスタミン受容体拮抗薬非服用者と比較して保有率に差はなかった(P=0.819)。2012年2月8日FDA (The U.S. Food and Drug Administration) Drug Safety Communicationにより、クロストリディウム・デフィシル菌関連下痢症とプロトンポンプ阻害薬の関連性について注意喚起がなされたが、本検討はこれに一致する結果であった。さらに同菌の病院内伝播経路を明らかにするため菌株の遺伝子解析を行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

長期療養型病院においてクロストリディウム・デフィシル菌の保有状況を明らかにすることができた。この過程で分離培養法やトキシン解析PCR法が安定的に行えるようになった。現在得られた菌株を用いて遺伝子解析を行っているところである。遺伝子解析が安定的に可能となった段階で、引き続き特定機能病院においてこの菌の保有状況の検討に着手する予定である。

今後の研究の推進方策

1)長期療養型病院入院患者より得られた菌株の遺伝子解析を行い、この菌の伝播様式を明らかにする。2)長期療養型病院入院患者より得られた菌株の遺伝子解析を行い、強毒株か否かを明らかにする。3)長期療養型病院入院患者より得られた菌株のbinary toxin産生の有無を検討する。4)特定機能病院におけるクロストリディウム・デフィシル菌起因性下痢の発生率を調査する。5)特定機能病院におけるクロストリディウム・デフィシル菌起因性下痢患者の菌株同定と院内感染経路を明らかにする。6)特定機能病院におけるクロストリディウム・デフィシル菌起因性下痢患者の菌株の毒素遺伝子変異とbinary toxin産生の有無を検討する。上記をもとに有効なクロストリディウム・デフィシル菌(強毒株を含む)院内感染対策法を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

PCR関連試薬(PCRキット、プライマー)12万円、polyacrylamide gel electrophoresis(PAGE)法関連試薬代金18万円、薬剤感受性試験関連試薬代金12万円、トキシンチェックキット代金8万円等、研究費のほとんどを検査関連費用として使用する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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