研究実績の概要 |
2004年度から2014年度までの11年間における産業医科大学病院(標榜科21科、病床数678床)におけるクロストリデイウム・ディフィシル (CD) 感染症の発症について調査した。各年度における、CDトキシン検査件数、陽性検査数、陽性率、集簇事例数、孤発事例数を求めた。集簇事例は、同一病棟、同時期(3週間以内)発生群と定義した。孤発事例は、集簇事例以外の事例と定義した。年度別CDトキシン検査件数、陽性検査数、陽性率、集簇事例数、孤発事例数を順に記す。 2004年度 166件, 34件, 20%, 7件, 27件 2005年度 317件, 51件, 16%, 28件, 23件 2006年度 338件, 33件, 10%, 7件, 26件 2007年度 442件, 57件, 13%, 40件, 17件 2008年度 368件, 37件, 10%, 8件, 29件 2009年度 351件, 33件, 9%, 9件, 24件 2010年度 363件, 38件, 10%, 11件, 27件 2011年度 367件, 26件, 7%, 6件, 20件 2012年度 438件, 36件, 8%, 7件, 29件 2013年度 542件, 56件, 10%, 19件, 37件 2014年度 492件, 21件, 4%, 11件, 10件 合計 4184件, 422件, 10%, 153件, 269件 2004年度から2014年度の11年間において、当院ではCD感染症の増加傾向やアウトブレイクは認めなかった。集簇事例は、水平伝播の可能性がある事例と考えるが、2005年、2007年、2014年は、集簇事例数>孤発事例数であった。集簇事例数>孤発事例数年度においては、陽性検体数が多い傾向がある。集簇事例は標準予防策を徹底することにより減少させることができる可能性があることから、標準予防策の徹底が、CD感染症の発症を減少させる可能性が示唆された。
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