研究課題/領域番号 |
23591488
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白石 秀明 北海道大学, 大学病院, 助教 (80374411)
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研究分担者 |
竹内 文也 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 准教授 (30281835)
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00281824)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 言語機能検査 / 脳磁図 / 急性脳症 / 小児 |
研究概要 |
急性脳症などの中枢神経感染症において、抗サイトカイン療法・集中治療などの治療の進歩により、生命予後に関しては近年改善が見られているが、知的退行、高次脳機能障害、運動麻痺などの後遺障害を遺さず治癒する例は非常に稀であり、後遺障害に苦しむ患児・家族の苦労は筆舌に尽くしがたい。特に、言語理解・表出の障害は大きな問題である。 言語理解機能の評価において、より客観的な手法で、また、障害児においても可能な検査方法の開発は、言語リハビリテーションの訓練目標を策定し、訓練の強い動機付けになることが期待される。 平成23年度は、年少小児でも負担がかかることなく文字画像刺激を、脳磁図室内で視聴する機器の開発を行った。脳磁図検査では、計測素子が収納しているヘルメットに頭を入れた状態で、言語刺激の呈示を視聴する必要があるが、この機構を簡便に行う為に、指向性の強いプロジェクター、及び特殊レンズを開発し、画像呈示が可能かどうかを検証した。種々の機器を比較し、視覚刺激装置NP-PA550WJLに中焦点ズームレンズNP13ZLを使用することで、良好な画像検査が可能であることが確認された。 患児の好むDVD画像を背景に使い、文字情報を重ね合わせるソフトウエア、調整機器の開発を行った。この画像は、視覚刺激コントローラー ・ V-440HD(マルチフォーマットミキサー)を使用することで作成できた。 これらの機器を用いて、言語機能検査を行う為に、2名の急性脳炎罹患患児、1名の先天性言語遅滞患児の検査参加承諾が得られ、次年度に検査を行う予定である。解析手法は、大脳皮質の基礎活動において、刺激によって誘発性される周波数の同期性、あるいは脱同期性を検討することに行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
言語刺激方法、刺激を行う機器の開発はほぼ達成したが、これらの機器選定に時間を要し、平成23年度末に納入され、その試験を行っている状況である。以上の理由から、対象患児、あるいは正常対照例の計測に遅れが生じている。同じ理由で、脳炎罹患患児の収集に遅滞が生じている。現在では、2名の急性脳炎罹患患児、1名の先天性言語遅滞患児の検査参加承諾が得られており、平成24年度にそれらの検討を行う予定である。これらの検討の結果で、安定した結果が得られた事を確認して、多数例の検討を準備する。 刺激画像の作成は、種々の機器の性能比較の結果、視覚刺激コントローラー ・ V-440HD(マルチフォーマットミキサー)を使用することで良好な結果が得られた。順調な進捗であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に開発した検査機器を使用し、対象患児にて検討を行う。これらの検討結果を踏まえ、北海道大学病院、その関連病院において、急性脳症後遺症として言語遅滞を来した患児の登録を行う。これらの中で、保護者の承諾が得られた症例において、検査を行い、検査結果の蓄積を行う。 これらの検査結果を踏まえ、初期結果を日本臨床神経学会にて発表を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
刺激画像呈示装置、呈示ソフトウエアの改良を行う。対象被験者の検査結果を踏まえ、適切な刺激条件、刺激画像の開発を行う。これらの改良に研究費を使用する予定である。 また、年少小児が検査中に体感的な違和感がないような、具体的にはヘルメット装置により頭の違和感を軽減する為に、ヘルメットの内部に、圧力を吸収するような素材の被覆材を装置する。既製品ではない為、オーダーメードにて対応する。このための予算使用を計画している。 これらの結果に関し、日本臨床神経学会にて発表を予定している。 尚、視覚刺激装置NP-PA550WJL、中焦点ズームレンズNP13ZL、視覚刺激コントローラー ・ V-440HD(マルチフォーマットミキサー)の総額は1,608,400円であったが、納入が4月13日であったため、平成23年度の購入にはならず、未使用額が生じた。
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