研究課題/領域番号 |
23591488
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白石 秀明 北海道大学, 大学病院, 助教 (80374411)
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研究分担者 |
竹内 文也 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 准教授 (30281835)
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00281824)
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キーワード | 言語機能 / 脳磁図 / 急性脳症 / 言語発達遅滞 / 非侵襲的評価 |
研究概要 |
急性脳症などに由来する脳機能障害に伴う言語機能障害児に対して、言語機能の存在・局在、その回復過程、発達段階を評価することを試みた。この評価のために、非侵襲的生体反応計測装置である脳磁図を用いて評価を行った。小児に言語刺激を有効に提供する為に、対象児の好むDVDに重畳する刺激言語を作成し、画像上に映像ミキサーで混合し、長焦点レンズと、高光度プロジェクターを用いて、患児の眼前に直接投影する画像表示装置を開発し研究を施行した。 5例の対象患児に対して研究を施行した。疾患の内訳は、先天性筋症1例、急性脳症後2例、Angelman症候群1例、West症候群後1例であった。対象症例に対して検査を行い、3例に対して経年的に複数回の検査を施行した。研究期間は1~5年であった。 言語誘発反応の評価は、刺激において生じる基礎周波数の消失:事象関連脱同期を用いて行った。対象症例においては、言語優位半球前頭部において、α帯域の律動性基礎波活動が減弱し、事象関連脱同期反応が見出された。また、経年的に施行した検査において、上記の事象関連脱同期反応は、経年的に拡大していた。 本研究の成果により、これまで困難とされていた、年少小児おける言語機能獲得過程の客観的評価が可能となった。また、この発達過程において、言語誘発によって得られる脳機能変化は、言語優位半球の前頭葉、側頭葉、頭頂葉に大きく広がる形式が見出された。今後、これらの反応が、経年的にどのように変化していくのか、今後の検討が必要であると考えられた。また、正常対照症例の言語機能獲得過程との比較を行うことにより、正常対照に比した客観的言語機能獲得過程の標準化が可能となるのではないかと考えられた。
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