研究課題/領域番号 |
23591490
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
重松 陽介 福井大学, 医学部, 教授 (80162593)
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研究分担者 |
畑 郁江 福井大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50251997)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝・先天異常学 / マススクリーニング |
研究概要 |
スクリーニング指標の検証:対象疾患として重要な脂肪酸酸化異常症であるCPT-2欠損症において見逃し例が発生したことを受けて、新たなスクリーニング指標として長鎖アシルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比が追加指標として有用であることを明らかにした。一方、我が国の複数の検査施設でのタンデムマススクリーニングにおける分析精度を維持するための制度管理方法を検討した結果、試料調整法や分析機器毎の条件の違いにより無視できない測定値のばらつきが存在することが明らかになった。特に、上記の比を指標とする場合に問題が大きいので、カットオフ値を測定値に併せて補正する標準化を提言した。脂肪酸酸化異常症の簡易精密検査法の開発:培養リンパ球を用いた検査法の条件設定を検討する一方、これまでの簡便な末梢リンパ球を用いた脂肪酸酸化能試験について対象患者における検査を行いながら改良を加えた。CPT1欠損症診断を目的とした標識中・長鎖脂肪酸のダブル負荷の検討を行い、産生されてくる標識短鎖アシルカルニチンの標識長鎖アシルカルニチンに対する比が診断指標として有用であることを明らかにした。グルタル酸尿症2型の診断を目的とした標識長鎖脂肪酸単独負荷においても、標識短鎖アシルカルニチンの標識長鎖アシルカルニチンに対する比が診断指標として有用であることを明らかにした。脂肪酸酸化能の評価には標識アセチルカルニチンの標識長鎖アシルカルニチンに対する比が有用であることも明らかにした。ガスクロマト質量分析計(GC/MS)を用いた濾紙血中有機酸分析:濾紙血中メチルマロン酸濃度測定については、高感度測定としてメチルマロン酸血漿の病型診断法としての有用性を確立した。メチルマロン酸以外の有機酸のGC/MS分析での網羅的および個別的分析に対応した誘導体化法の検討を行い、一部の有機酸について分析条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スクリーニング指標の検証:脂肪酸酸化異常症において、アセチルカルニチンに対する疾患特異的指標アシルカルニチンの比が追加指標として有用であることを明らかにしたが、更にカルニチントランスポータ異常症の偽陽性率低減のための追加指標など、更に複数の指標の検討が必要である。特に対象疾患が希少疾患であり、タンデムマス・スクリーニングで発見される患者も限られているので、今後更に追加症例により実証が必要である。脂肪酸酸化異常症の簡易精密検査法の開発:末梢リンパ球そのものを用いる脂肪酸酸化能試験の精度向上についてはほぼ達成できており、更に定量性を向上させる技術としてリンパ球の培養条件の検討についても条件毎で増える細胞種とその酵素発現について検討が進んでいる。ガスクロマト質量分析計を用いた濾紙血中有機酸分析:濾紙血中有機酸の網羅的分析条件について誘導体化法を含めた条件検討が進んでいる。髄液を含めた体液中有機酸分析への応用により中枢神経系での有機酸濃度の病的意義の検討も進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度において検討した新規スクリーニング指標とそのカットオフ値の精度について、更に患者検体を収集し分析することで検証を続ける。特にイソ吉草酸血症のスクリーニング指標であるC5アシルカルニチンのカットオフ値を高く設定することについて、偽陰性例の有無や、抗生剤服用による疑陽性率への影響などを検証する。更に、濾紙血中メチルマロン酸濃度測定を継続することにより、メチルマロン酸血症スクリーニング指標であるプロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン比がビタミンB12反応型でどのような分布を示すか検証する。 培養リンパ球による脂肪酸酸化能検査法について、分取した"リンパ球"の培養条件を更に検討し、タンデムマス法による脂肪酸酸化能分析に適した培養細胞を得る。その感度の確認を、特に軽症例での分析において確認する。 濾紙血中有機酸分析に関し、プロピオン酸血症だけでなく複合カルボキシラーゼ欠損症やグルタル酸尿症I型においてもGC/MS分析での診断の可能性について検討する。 古典的なスクリーニング対象疾患であるメープルシロップ尿症とホモシスチン尿症において、現行のスクリーニング指標では特性に欠けるため、濾紙血中の疾患特性の高い物質を測定するタンデム質量分析による二次検査法の検討を始める。
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次年度の研究費の使用計画 |
分析機器の性能維持のために整備と消耗部品交換を行う。培養細胞を用いた実験のための試薬類を購入する。
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