研究課題
スクリーニング指標の検証:試験研究を通じて検証したCPT-II欠損症の新たなスクリーニング指標が事業化された新生児スクリーニングの一部に採用され、陽性例を血清での精密検査とするシステムが始動した。これまで偽陰性となることが経験されていた“メチルマロン酸血症とホモシスチン尿症を呈するタイプ”のB12反応型メチルマロン酸血症(Cbl-C,D,F)の新しいスクリーニング指標としてプロピオニルカルニチン/メチオニン比(C3/Met)を考案し、Cbl-C型患者をスクリーニング出来るのみならず、類似の検査異常を示すB12欠乏症の新生児をスクリーニング出来ることを明らかにした。また、このスクリーニングシステムを実施するために必要な濾紙血中メチルマロン酸・3-ヒドロキシプロピオン酸血症濃度測定法の精度向上を、患者検体を多数分析することで達成した。脂肪酸酸化異常症の簡易精密検査法の開発:CPT-II欠損症陽性例に対する精密検査法として末梢リンパ球を用いた脂肪酸酸化能試験の有用性の検証をすすめ、保因者での脂肪酸酸化能の変化について知見が得られた。CPT-1欠損症について、標識中鎖・長鎖脂肪酸同時負荷により病型診断が可能であることを明らかにした。ガスクロマト質量分析計(GC/MS)を用いた濾紙血中有機酸分析:新生児スクリーニングでの濾紙血中C3/Met上昇例における濾紙血中メチルマロン酸濃度を測定し、健常児では1nmol/ml以下、B12欠乏症児や最軽症型(良性)メチルマロン酸血症では1-10nmol/ml、B12反応型メチルマロン酸血症では20-200nmol/ml、ムターゼ欠損症では200nmol/mlといった血中メチルマロン酸濃度の疾患別分布の特徴を明らかにし、新生児スクリーニングにおける初回濾紙血を用いた二次検査の重要性を明らかにした。
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