研究課題/領域番号 |
23591491
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
平澤 孝枝 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10402083)
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研究分担者 |
久保田 健夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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キーワード | ストレス / エピジェネティクス / 発達障害 |
研究概要 |
ストレスに反応し副腎より放出されるストレスホルモンであるコルチゾールは脳においては標的器官である海馬と視床下部に発現しているGR受容体を介して脳機能のシグナル伝達に影響を及ぼす。ストレスホルモンがGR受容体を介し神経細胞の活性化を促進し、またストレスがGR遺伝子のメチル化を促進することが分かっているがその遺伝子制御と反応との関連性が分かっていない。これまでにグルココルチコイドは短時間の作用では膜型受容体を介した作用によりNMDA受容体の活性化を引き起こし、NMDA受容体の翻訳を促進している事がmRNAやタンパク質の発現量より示唆された。 平成24年度は「ストレス誘導性神経機能調節分子の発現変動とDNA修飾作用の解析」、を目的に幼若期ストレスによって変動する様々な遺伝子の把握とエピジェネティクス修飾作用について検討した。実験方法として幼若期ストレスを負荷したマウスの脳のGRの発現変化やDNAのメチル化状態、および網羅的に発現変動する遺伝子の特定を行った。生後1日目より母子分離ストレスを14日間負荷されたマウスは生後のGRの発現量が著しく低下する事が分かった。しかしながら、バイサルファイトシークエンスによるメチル化状態を確認した所、大きな変動は見られなかった。一方でDNAメチル化アレイ解析により網羅的に解析した所、生後30日齢で母子分離群で高メチルであったもの76遺伝子、低メチルであったもの46遺伝子が見つかった。またこれまでに発達の過程で重要な遺伝子やグルココルチコイドによって誘導される炎症反応に関連する遺伝子の発現をリアルタイムPCR法でmRNA量を調べた所これらの遺伝子の発現量が低下していた。今後これらの遺伝子の調節機構を解明することで環境要因、特にストレスに対する遺伝子のエピジェネティック調節メカニズムについて解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的でストレス誘導性神経機能調節分子の発現変動とDNA修飾作用の解析」、「ストレス負荷マウスにおける海馬神経機能の変化とストレス耐性機能の獲得の関連性」についてはおおむね目標を達成できた。一方でDNAの修飾作用の解析は今後ストレス負荷マウスの脳のサンプルよりChIP解析を行う予定であるが組織のChIP特に脂肪の多い脳は抽出が難しいので検討をする余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
ストレス負荷マウスにおける海馬神経機能の変化とストレス耐性機能の獲得の関連性を目的とし、母子分離ストレスマウス脳のエピジェネティック制御機構を解明するために脳サンプルのChIP解析を行う。これにより幼若期ストレスの発達障害関連分子の制御機構が分かる可能性がでる。また本年度は動物飼育や行動実験が主体となるのと遺伝子発現解析の抗体等が使用金額に充てる事が多いと思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当者なし
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