研究課題/領域番号 |
23591494
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下野 九理子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (60403185)
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研究分担者 |
沖永 剛志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30362734)
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
平田 雅之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30372626)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自閉症 |
研究概要 |
研究の目的:自閉症スペクトラム(ASD)児の聴覚過敏性が、問題行動を引き起こすことは日常の臨床でよく経験する。しかし、その神経学的な基盤についてはわかっていない。我々はASDの聴覚過敏性の神経基盤を明らかにする目的で本研究を行った。【23年度の研究成果】1)聴覚過敏性の評価と一次聴覚野の反応 当院外来において自閉症スペクトラム障害の診断を受けた児童の内、WISC-IIIにてIQ75以上の高機能の男子児童(ASD)(8歳から15歳)18名、比較対照群として、発達障害をもたない男子児童(TD)(8歳から15歳)12名をリクルートした。(下野・谷池)感覚特性評価ツールであるSensory profileを用いて評価を行った。 聴覚過敏性を有するASD群では平均20.33、聴覚過敏性のないASD群では平均31.78、コントロール群では平均39.00と有意な差を認めた。(沖永)脳磁図(MEG)にて1KHzのクリック音刺激でauditory evoked field (AEF)を測定した。AEFの潜時、振幅, 磁場の大きさ(モーメント)について評価を行った。(下野・平田)電流源推定の重ね合わせ用に3T MRIにて脳の画像を撮影した。(沖永)AEFの潜時は聴覚過敏性のあるASD群で有意に遅延しており、その遅延の程度は聴覚過敏性の重症度と相関していた。また磁場のAEFのモーメントに関しても聴覚過敏性のあるASD群で有意にモーメントが増大し、特に聴覚過敏性の高い人ほどモーメントが大きくなっており、有意な相関を認めた。2)成果の発表:これらの成果について日本臨床神経生理学会で発表し、NeuroReportに論文発表を行った(下野)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画通り被験者も集まり、MEG測定も行った。聴覚過敏性についての評価と一次聴覚野の反応について検討を行い、昨年秋の学会報告(日本臨床神経整理学会)、および2012年1月に論文発表(NeuroReport)を行った。
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今後の研究の推進方策 |
聴覚過敏性と一次聴覚野以降の大脳皮質の反応についての検討を行う。また高さの異なる音の弁別における一次聴覚野反応・左前側頭用皮質・腹外側前前頭葉皮質における反応潜時、反応の大きさの違いについて自閉症群とコントロール群で比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
MEG施設使用料は測定回数によって異なるため、当初予定していたよりも効率よく検査を行うことができ、予算より少ない料金で測定を行った。次年度に新たな被験者の測定の際にMEG施設使用料が必要になるため、次年度に使用する予定である。
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