研究課題/領域番号 |
23591494
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下野 九理子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 講師 (60403185)
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研究分担者 |
沖永 剛志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30362734)
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
平田 雅之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30372626)
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キーワード | 脳磁図 / 広汎性発達障害 / 聴覚過敏性 |
研究概要 |
聴覚過敏性を持つ広汎性発達障害児(ASD with)において一次聴覚野での反応の慣れの現象について定型発達児(TD)、聴覚過敏性のない広汎性発達障害児(ASD without)と比較した。純音刺激に対する一次聴覚野のM50の反応を一連の刺激の回数別で5つの時間帯域に分け、比較した。M50のdipole momentはASD with群でのみ刺激回数が増えるごとに経時的に増大していくことが明らかとなった。このことは一次聴覚野での反応が1つの刺激が終わった後も長く残存しつづけることによって次の刺激が入ってくるときに反応が累積して行ったためと考えられる。 また純音刺激に対する大脳の周波数変化を空間フィルター(beamforming)を用いて群間比較を行った。MEGデータを5つの周波数帯域(θ:3-8Hz, α:8-13Hz, β:13-25Hz, low γ: 25-50Hz, high γ: 50-100Hz)に分け、それぞれの帯域ごとにグループ解析を行った。low γ帯域においてTDでは音刺激が入力された後、150-300ms で事象関連脱同期(ERD)を一次聴覚野に認めるが、ASD without群、ASD with群ではERDの出現は乏しく、事象関連同期(ERS)を認め、特にASD with群において顕著に認めた。 以上のことからASD with群においては単純な音刺激においても音に対する反応が大きいのみならず、反応の持続が長く、異常な活動の同期化を伴った現象であることが示された。このことはASD児の大脳皮質での抑制系の脆弱さと関係している可能性がある。(Society for Neuroscience at New Orleans 2012で発表)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年1年間の成果を国内外の学会で発表し、現在論文原稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
刺激音を感情音(嫌悪刺激・中性刺激)を用いた研究を解析中である。MEG, MRIデータはほとんどそろっており、あと数名増やす予定である。この結果に関しては2013日本小児神経学会に発表予定である。また音の弁別刺激に対する反応の違いについてもデータはほとんどとり終えており、解析中である。2013年Society for Neuroscienceに発表予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今までの結果を論文投稿するために準備を行っており、結果によっては被験者数を増やして解析を進める(MEG使用料)。解析に必要なソフトの購入、学会発表の旅費、論文投稿費用に使用予定である。
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