研究課題
2009年よりASDの聴覚過敏性の神経基盤を明らかにするために脳磁図(Magnetoencephalography: MEG)を用いて音刺激に対する反応の違いについて検討を行ってきた。ASD児の聴覚過敏性を質問紙(sensory profile: SP)で評価し、聴覚過敏性の有る群(ASD with 群)と過敏性のない群(ASD without群)に分け、定型発達児(Control)と比較した。今年度は刺激の反復による慣れの現象について検討を行い、ASD with群においてのみ、音刺激の繰り返しによって刺激回数が増えるごとにM50の反応が増大していく現象が認められた。これは“慣れの現象”が低下している、あるいは皮質反応終了までに時間がかかっていることを示唆する結果であり、視床のsensory gatingの異常あるいは皮質抑制系の低下が関与していると考えられる(PlosOne)。次に、日常生活で遭遇する音の中から被験者にいくつかのサンプル音を聞いてもらい、どう感じたかを質問して作成した、“嫌悪感を惹起する音(aversive sound)”と特に“中性音(neutral sound)”を刺激として用いMEGを測定した。その結果ASD with群のaversive sound刺激でのみ前帯状回(anterior cingulate: ACC)にevent-related synchronization(ERS)が出現していた。ACCはemotional stimulationの際に特異的に活動する部位とされ(Hirata,2007)ASD児における音刺激がもたらす嫌悪感と関連があると考えている(投稿準備中)。
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