研究課題/領域番号 |
23591496
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
八木 麻理子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (60362787)
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研究分担者 |
竹島 泰弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40281141)
粟野 宏之 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30437470)
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キーワード | 国際情報研究 |
研究概要 |
H24年度の研究では、H23年度にアンチセンスオリゴヌクレオチドによるエクソンスキッピング誘導について検討した、エクソン46~47、46~48、46~49、46~53の欠失変異を有するDMD患者由来の欠失断端解析を行った。その結果、5例、H23年度研究分を合わせると合計8例の欠失断端を同定した。欠失断端の配列は8例それぞれ異なっており、明らかな相同性は認めなかった。 これまで私たちが行ってきたDMD症例の遺伝子解析結果から、エクソン45欠失を有する症例間で、スプライシングパターンが異なるというデータを得ている。この場合も欠失断端がスプライシングパターンに影響を与えている可能性が考えられることから、以前に構築したカセットプラスミドを用いたin vitroスプライシング系をによる実験を行った。欠失断端をいくつかに分割してカセットプラスミドに導入し検討した結果、スプライシングに変化をもたらす配列を同定することができた。さらに、同定した配列を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入することにより、アンチセンスオリゴヌクレオチド導入前に認めたスプライシングの変化が抑制されることを確認した。 以上の結果より、欠失断端を同定できたエクソン46~47、46~48、46~49、46~51、46~53欠失例について、in vitroスプライシング系を用いることにより、エクソンスキッピング効率に影響を与えている配列を検索できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、欠失断端の解析はアレイCGHを用いて行う予定としていたが、PCR法および直接シーケンス法を用いて行った。また、エクソン45を標的とするスキッピング療法の適応となる遺伝子変異として、エクソン46~51欠失変異のみを対象としていたが、このほか、エクソン46~47、46~48、46~49、46~53、44欠失症例も対象とし合計8例について欠失断端を解析したため、同定した断端配列内に位置するISE、ISS、noncoding RNA配列の検索が十分に行えていない。 しかし、スプライシングパターンが異なるエクソン45欠失例について、in vitroスプライシング系を用いて、スプライシングに影響を与える配列を同定できたというH24年度の成果より、in vitroスプライシング系を利用することによってエクソンスキッピング誘導効率に影響を与える配列の検索が可能であると考えられ、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
欠失断端の解析が終了した8例について、欠失断端の配列を複数に分割しカセットプラスミドに導入、in vitroスプライシング系を用いて、それぞれの配列がスプライシングを変化させるかどうかを検討する。さらに、スプライシングの変化を認めた配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、あるいは、同定した配列への結合が予測されるスプライソソームを導入し、スプライシングの変化が抑制されるかどうかを検討する。 また、DMD患者由来の筋培養細胞を用い、同定した配列への結合が予測されるスプライソソームを標的として、ベクターによる強制発現あるいはsiRNAを用いた発現抑制により、エクソン45を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドによるエクソンスキッピング誘導効率の変化、ジストロフィン発現の変化について検討する。 以上の検討結果より、研究期間内にエクソン45のスキッピング誘導効率を規定するシス因子を明らかにすることが可能であると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
in vitroスプライシング系を用いてエクソンスキッピング誘導効率に規定する配列を検索するために、RNA抽出試薬、PCR用試薬、プライマー、シーケンス用試薬を、また実際にDMD患者由来の筋培養細胞を用いて欠失断端の配列のエクソン45スキッピング誘導効率への影響を検証するために、細胞培養用試薬、siRNA、免疫染色やウエスタンブロットに関連する試薬等を計上する。 さらに、成果を世界へ発表するために国内、国際学会で発表し、学術雑誌へ投稿する費用として、旅費、印刷費、論文投稿費等を計上する。
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