研究課題
脳波解析を用いた急性脳症の早期診断を目的に、既に収集された症例と新規症例のデジタル脳波の解析を行った。1、対象:急性脳症22例、熱性けいれん重積16例、てんかん重積3例、頭蓋内出血1例、低酸素性脳症1例の計43例。後遺症により5群に分類:植物状態、最重度後遺症、重度後遺症、中等度後遺症、軽度後遺症、後遺症なし。2、脳波解析:デジタル記録された脳波を、連続する5秒の部位を1エポックとし、切り出し保存した。脳波はフーリエ変換し、各脳部位の脳波パワースペクトルを計測した。各脳部位のパワースペクトルは0.5Hzから60Hzまでの全てのパワースペクトルの平均値を算出して評価した。脳部位間の脳波コヒーレンスも平均値で評価した。3、解析結果:①δ周波数帯域のパワー値は、各後遺症群と後遺症なし群とは有意差を認めなかった。②Θ周波数帯域のパワー値は、前頭部で植物状態群が後遺症なし群と比較して有意に低値を示した(p < 0.05)。③α周波数帯域のパワー値は、前頭部で植物状態群が後遺症なし群と比較して低値を示す傾向を認めた(p = 0.09)。④β周波数帯域のパワー値は、前頭部で植物状態群と重度後遺症群が前頭部で後遺症なし群と比べて低値を示す傾向を認めた(p = 0.08)。⑤γ周波数帯域のパワー値は、すべての部位において有意差を認めなかった。②前頭部―後頭部コヒーレンスは軽度―中等度群で低く、正常群では有意に高いという結果が得られた。コヒーレンス値で、軽度―中等度群と正常群の識別感度は100%、特異度92.9%であった。4、研究結果の意義と重要性:視覚的な脳波判断においては、けいれん重積後の脳波から予後不良の急性脳症と予後良好な急性脳症・てんかん・熱性けいれん重積を判別するには限界があった。デジタル脳波解析において、客観的に感度・特異度の高い診断ができる可能性が示唆された。
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