• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

ライソゾーム病に対するケミカルシャペロン療法の細胞内分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591498
研究機関鳥取大学

研究代表者

檜垣 克美  鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 准教授 (90294321)

キーワードライソゾーム病 / 小児神経疾患 / 脂質代謝異常症 / 治療法開発 / ケミカルシャペロン / コレステロール / 小胞体
研究概要

先天性代謝異常症であるライソゾーム病の多くは小児期に重篤な中枢神経障害を主症状に発症する神経難病であり、中枢神経病態に対する根治治療法はない。私はこれまで、GM1-ガング
リオシドーシス、ゴーシェ病、ファブリ病などに対するケミカルシャペロン療法の開発研究を行い、有効性を示す化合物の同定を行ってきた。一方で、シャペロン効果は変異型特異的で、シャペロン効果の細胞内の分子機構は不明な点が多く、これらを解決することは今後のシャペロン化合物の開発に必須と考える。本年度は既存のシャペロン化合物を用い、シクロデキストリンによる細胞膜脂質含量の低下がシャペロン効果に与える影響を調べた。結果、細胞膜コレステロールとリン脂質含量を低下する効果のある6種類のシクロデキストリンいずれもシャペロン効果に対する有意な影響を認めなかった。一方、小胞体蛋白質分解系の阻害剤の効果を調べた結果、celastrolなどにおいて、変異α-ガラクトシダーゼに対するシャペロン効果の増強効果を認めた。さらに、蛋白質疎水残基に結合する蛍光色素を用い、ライソゾーム酵素蛋白質のフォールディングを蛍光定量により測定できる系を確立した。今後は、celastrol以外の小胞体蛋白質阻害剤の効果を調べる。また、蛋白質フォールディング測定系を用いた新規シャペロン候補化合物の探索を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既存シャペロン化合物の効果に対する相乗効果を指標にして、シクロデキストリンによる効果は見いだせなかったが、いくつかの小胞体蛋白質分解阻害剤が効果を示すことを見いだすことができた。また、新規シャペロン化合物探索のため、蛍光標識を用いたライソゾーム蛋白質フォールディング検出系を新規に確立することができた。

今後の研究の推進方策

小胞体蛋白質分解系とシャペロン効果に関し、1) celastrol以外の阻害剤について、効果を検討する、2) 小胞体蛋白質理フォールディングに関わる熱ショック蛋白質とシャペロン効果について検討する、3) ユビキチン分解系とシャペロン効果の関連性について検討を行う。また、ライソゾーム蛋白質のフォールディングを蛍光検出できる系を用い、新規シャペロン候補化合物の探索を進める。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] The chaperone activity and toxicity of ambroxol on GD cells and normal mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Luan Z
    • 雑誌名

      Brain Dev

      巻: 35 ページ: 317-322

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2012.05.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A bicyclic 1-deoxygalactonojirimycin derivative as a novel pharmacological chaperone for GM1 gangliosidosis.2013

    • 著者名/発表者名
      Takai T
    • 雑誌名

      Mol Ther

      巻: 21 ページ: 526-532

    • DOI

      10.1038/mt.2012.263

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Therapeutic chaperone effect of N-octyl-4-epi-β-valienamine on murine GM1-gangliosidosis.2012

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Y
    • 雑誌名

      Mol Genet Metab

      巻: 106 ページ: 92-98

    • DOI

      10.1016/j.ymgme.2012.02.012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tuning glycosidase inhibition through aglycone interactions: Pharmacological chaperones for Fabry disease and GM1 gangliosidosis.2012

    • 著者名/発表者名
      Aguilar-Moncayo M
    • 雑誌名

      Chem Commun

      巻: 48 ページ: 6514-6516

    • DOI

      10.1039/c2cc32065g

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Conformationally-Locked N-Glycosides with Selective β-Glycosidase Inhibitory Activity: Identification of a New Non-Iminosugar-Type Pharmacological Chaperone for Gaucher Disease.2012

    • 著者名/発表者名
      Castilla J
    • 雑誌名

      J Med Chem

      巻: 55 ページ: 6857-6865

    • DOI

      10.1021/jm3006178

    • 査読あり
  • [学会発表] A novel chaperone compound for GM1-gangliosidosis.

    • 著者名/発表者名
      Takai T
    • 学会等名
      第17回日本ライソゾーム病研究会
    • 発表場所
      東京プリンスホテル(東京都)
  • [学会発表] Tuning glycosidase inhibition through aglycone interactions: pharmacological chaperones for Fabry disease and GM1-gangliosidosis.

    • 著者名/発表者名
      Yu Y
    • 学会等名
      第17回日本ライソゾーム病研究会
    • 発表場所
      東京プリンスホテル(東京都)
  • [学会発表] ファブリー病ならびにGM1-ガングリオシドーシスに対する新しいシャペロン治療薬の開発.

    • 著者名/発表者名
      難波栄二
    • 学会等名
      第57回日本人類遺伝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
  • [学会発表] ヒトI51T変異-ガラクトシダーゼに有効な新規ケミカルシャペロン化合物の解析.

    • 著者名/発表者名
      髙井知子
    • 学会等名
      第54回日本先天代謝異常学会
    • 発表場所
      じゅろくプラザ(岐阜市)
  • [学会発表] ライソゾーム病に対するシャペロン化合物の開発

    • 著者名/発表者名
      檜垣克美
    • 学会等名
      第1回 日本シャペロン療法研究会
    • 発表場所
      キャンパス・イノベーションセンター東京(東京都)
    • 招待講演
  • [図書] ガングリオシドーシス(Brain Medical)2012

    • 著者名/発表者名
      難波栄二
    • 総ページ数
      13-19
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] GM1-ガングリオシドーシス(先天代謝異常症候群 第2版)2012

    • 著者名/発表者名
      檜垣克美
    • 総ページ数
      478-485
    • 出版者
      日本臨床社

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi