研究概要 |
本研究では、全国の小児内分泌医の協力の下に収集した、主に軽症から中等症の日本人低身長症患児およびその家系(計127家系)を対象に、低身長症原因候補遺伝子の変異解析を網羅的に実施した。また海外の内分泌研究グループとの共同研究を積極的に実施した。具体的な研究成果は以下の通りである。 1.グレリン受容体(GHSR)遺伝子、GH放出ホルモン受容体(GHRHR)遺伝子、また下垂体特異的転写因子であるPit-P1遺伝子において、これまで報告されていない新規変異を多数同定し、さらに変異の機能的影響を生化学的に実証し (JCEM 96:E373-8, 2011; Clin Endocrinol 74:223-33, 2011 ; Clin Endocrinol 76:78-87, 2012)。 2/GHSR遺伝子の細胞(組織)特異的発現の調節機能について、ラットモデルを用いて解明した(Mol Cell Endocrinol 345:1-15, 2011)。 3.韓国の内分泌研究グループ(Asian Institute for Life Sciences, University of Ulsan College of Medicine)と共同で、次世代DNAシークエンサーを用いたヒトエキソーム解析による変異スクリーニングを実施した(Hum Genet 131:471-478, 2012)。 4-GHRHR遺伝子変異の起源に関する研究を、ブラジルサンパウロ大学Ivo JP Arnhold博士らと共同で行った(Horm Res Paediatr 5.本研究の全体を通して、軽症から中等症の低身長症患者群では低頻度の"slightly deleterious variants"ともいうべき遺伝子変異が集積していることが示唆された。すなわち機能的に部分的低下を示す変異や通常劣性型と考えられている変異のキャリアー(ヘテロ接合体)の出現頻度が患者群において有意に高かった(投稿準備中)。
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