研究課題
1)10日齢の野生型およびmotopsin欠損マウス海馬から、可溶性画分、Triton可溶性画分、Triton不溶性画分を調製した。各画分をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、泳動レーンを5 mm間隔に細切してLC-MS/MSを用いて蛋白質を同定したところ、遺伝子型によって検出量が異なる蛋白質をいくつか同定することができた。今後、これらの蛋白質の機能とmotopsin欠損による表現形との関連を検討する。2)pTRE-Tight-BI-AcGFP1にmotopsin cDNAを組み込んだベクターを野生型マウスの受精卵にマイクロインジェクションしてトラスジェニックマウス(Tg)TRE-motopsin; WTを得た。これをCam kinase IIプロモータ下でtTAを発現するTgマウス(CamK-tTA; WT)と交配し、二重Tgマウス(TetOFF-motopsin; WT)を作成した。現在、二重Tgマウスにおける組換えmotopsinの発現動態について解析中である。3)Motopsin欠損マウスにおける社会行動関連神経伝達物質の測定を行うために、野生型マウスより切り出した海馬、帯状皮質、前頭皮質を用いてLC-MS/MSによるモノアミン測定の条件検討を行った。4)マウス神経芽細胞腫Neuro2aに膜移行性GFPとともにmotopsin、およびsez-6を単独あるいは両者を導入し、GFPの蛍光を指標に細胞形態について観察を行った。その結果、motopsinを単独で発現させた場合には神経突起の数、分枝数、長さのいずれもが有意に増加したが、sez-6と共発現させるとこれらの効果は抑制された。今後、初代神経細胞を用いてさらに検討を行っていく予定である。
3: やや遅れている
研究代表者が年度途中で所属大学を移動することとなり、1から研究室のセットアップを行う必要があったこと、組換え実験等種々の事務手続きが必要であったこと、実験動物を移動させて繁殖させる必要があったこと、などによる。
研究代表者の新任地において研究機材等の研究環境が十分に整っていないことが問題である。前任地の研究室で保有していた機器で新任地に無いものは適宜購入する必要があるが、予算の関係上進んでいない。学内共同施設や他の研究室の機器を利用することなどで対応していきたい。
H23年度には研究代表者の移動によって、脳内のもアミン測定についてマウス検体の収集ができず、計画通りに測定を実施することができなかった。これに伴い\155,200を次年度に繰り越すこととした。 H24年度には、当初予算\1,400,000と合わせて\1,555,200を執行する。内訳は物品費\1,155,200、旅費\300,000、その他\100,000を予定している。
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