研究課題/領域番号 |
23591503
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 助教 (10398076)
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研究分担者 |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学病院, 特別教員 (70304805)
實藤 雅文 九州大学, 大学病院, 助教 (50467940)
石崎 義人 九州大学, 大学病院, 助教 (20572944)
李 守永 九州大学, 大学病院, 助教 (10529796)
酒井 康成 九州大学, 大学病院, 講師 (10380396)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 急性脳症 / 小児科 / バイオマーカー / プロテオミクス |
研究概要 |
小児のウイルス関連脳症は、けいれんや意識障害などの非特異的な急性中枢神経症状で発症することから、臨床的な検査所見によって熱性けいれんや熱せん妄を鑑別し、発症早期に急性脳症の重症度の評価することは臨床的に重要な課題である。我々は、小児のウイルス関連脳症の病態特異的バイオマーカーを検索するために、これまでに熱性けいれん・熱せん妄26例(男15女11、発症年齢中央値20か月)、急性脳症23例(男14女9 発症年齢中央値21か月)の集積を行い、臨床データのデータベース化を行った。髄液バイオマーカーを検索するにあたり、予備解析として、得られた臨床データを用いて、初回血液検査値の単変量解析を行ったところ、血清総蛋白値、アルブミン値、尿酸値、AST値、CRP値、血小板数、FDP値、D-dimer値で有意差が認められた。髄液検査での検討では有意な差を示す項目はなかった。多変量解析では、血清アルブミン値、尿酸値、ALT値、WBC、CRP値が判別因子として選択された。有意差を認めた項目から、全身性の炎症の程度に加え、血管内皮障害による血管透過性亢進や血栓産生、さらに臓器障害が、脳症群の特徴であることが示唆され、このことを念頭に置いたバイオマーカーの探索が必要と考えられた。ただし、有意項目の散布図では熱性けいれん群が比較的単一の集団を呈するのに対して、急性脳症群のばらつきが大きいことから、急性脳症群はよりヘテロな集団であることが示唆されるため、バイオマーカーを検討を行う上で、急性脳症群を既存の臨床データに基づいて分類しておくことが必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での目標の症例数(急性脳症30例と熱性けいれん症例30例)にほぼ近づいている。急性脳症はヘテロな集団であることから、全例をまとめて解析すると明確な結果が得られない可能性があるため、バイオマーカーを検索するにあたり、予備解析として、既存の急性脳症例の臨床データの統計的解析を行い、病態を分類することを行った。検体は未測定であるが、測定の準備はすでにできている。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象の症例および検体は集積されているが、再分化すると症例数が減るため、今後も症例と検体収集を継続する。質量分析計(High Performance Liquid Chromatography;1200 series[Agilent Technologies], Mass Spectrometry;esquire6000[Bruker])による髄液検体の測定を行い、得られるスペクトルの詳細なデータ解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、主に質量分析に必要な消耗品購入、急性脳症の臨床データを得るための補助検査、解析データの発表に研究費を使用する予定である。
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