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2012 年度 実施状況報告書

小児期発症メタボリック症候群における内胚葉系細胞のカルシウムシグナルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 23591504
研究機関熊本大学

研究代表者

中村 公俊  熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30336234)

キーワードメタボリックシンドローム / カルシウムシグナル / トランスジェニックマウス / )内胚葉系幹細胞 / 心筋症
研究概要

メタボリックシンドロームは、肥満、高脂血症、高血圧や糖尿病などの合併によって起こる動脈硬化のハイリスク群である。calreticulinは肝細胞、膵臓β細胞、脂肪細胞などにおいて、糖、脂質代謝の調節に関与している。本研究では、時間、組織特異的calreticulinの過剰発現をtamoxifenにより誘導可能なトランスジェニックマウスを作成した。そして、マウス肝細胞、膵内分泌細胞へと分化する幹細胞の分離、分化誘導法を用いて、calreticulin欠損マウスと、時間、組織特異的calreticulinの過剰発現マウスから内胚葉系幹細胞を確立し、そのカルシウムシグナルにおける機能の解析を行った。そしてメタボリックシンドロームの発症のメカニズムを、遺伝子発現やタンパク質の機能の調節に重要なカルシウムシグナルの観点から解析した。そのために、calreticulin の発現レベルを肝細胞、膵臓β細胞、脂肪細胞のそれぞれにおいて調節できるトランスジェニックマウスを用いて、肝細胞特異的にcre recombinaseを発現するマウスと交配し、ウエスタンブロット法、RT-PCR法を用いることにより、肝細胞におけるcalreticulinの発現量を野生型と比較した。このトランスジェニックマウスにおいて、肝臓、膵β細胞、脂肪細胞における糖、脂質代謝について解析した。また、calreticulinの心臓における過剰発現マウスは拡張型心筋症を発症した。心筋症の原因についてメタボリックシンドロームの観点から解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

時間、組織特異的calreticulinの過剰発現をtamoxifenにより誘導可能なトランスジェニックマウスを作成した。そして、マウス肝細胞、膵内分泌細胞へと分化する幹細胞の分離、分化誘導法を用いて、calreticulin欠損マウスと、時間、組織特異的calreticulinの過剰発現マウスから内胚葉系幹細胞を確立し、そのカルシウムシグナルにおける機能の解析を行った。calreticulin の発現レベルを肝細胞、膵臓β細胞、脂肪細胞のそれぞれにおいて調節できるトランスジェニックマウスを用いて、肝細胞特異的にcre recombinaseを発現するマウスと交配し、ウエスタンブロット法、RT-PCR法を用いることにより、肝細胞におけるcalreticulinの発現量を野生型と比較した。さらに、calreticulinの心臓における過剰発現マウスを作製することで、拡張型心筋症をきたすことを明らかにできた。

今後の研究の推進方策

Calreticulin の発現レベルを肝細胞、膵臓β細胞、脂肪細胞のそれぞれにおいて調節できるトランスジェニックマウスを用いて、脂肪細胞特異的にcre recombinaseを発現するマウスと交配し、ウエスタンブロット法を用いることにより、脂肪細胞におけるcalreticulinの発現量を野生型と比較する。このトランスジェニックマウスにおいて、肝臓、膵β細胞、脂肪細胞における糖、脂質代謝について解析する。過剰発現マウスにおいても糖の産生、貯蔵やインスリンの産生、分泌、脂質の肝臓への取り込みや分解、アディポサイトカインの産生などに異常をきたすことが予想される。また、新たに作成した心筋症発症マウスとメタボリックシンドロームとの関係を解析する。

次年度の研究費の使用計画

脂肪細胞特異的プロモーターであるaP2プロモーターの制御下にcre recombinaseを発現するマウスとも交配を行い、脂肪細胞特異的なcalreticulin過剰発現マウスを作成する。これらのマウスにおいても表現型を解析する。心筋細胞特異的にcre recombinaseを発現するマウスと交配することにより、心臓特異的なcalreticulin過剰発現マウスを作成している。このマウスはcre-loxPシステムを利用することにより繁殖系としての維持が可能となり、解析に十分な個体数や心筋細胞を集めることが可能となる。
この組織特異的calreticulin過剰発現トランスジェニックマウスの脂肪細胞、膵臓ラ氏島、血管内皮細胞、心筋細胞分離のために必要な培養装置、試薬を購入予定である。。脂肪細胞の分離にはコラゲナーゼ/KRBバッファーよる細胞分散を用いた初代培養法、ラ氏島の分離にはコラゲナーゼによるラ氏島回収法、血管内皮細胞の分離にはPSP培養法などを用いる。これらの過剰発現細胞では、カルシウムシグナルの異常による糖、脂質代謝異常、細胞膜レセプターやチャンネルの異常による代謝制御の異常などが出現することが考えられる。これらの異常を、アディポサイトカイン、血糖、血中インスリンや脂質の変化、細胞膜レセプターの発現量や糖鎖による修飾異常の有無、細胞内カルシウム濃度の変化などを解析するため、これらの試薬を購入予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Calreticulin induces dilated cardiomyopathy.2013

    • 著者名/発表者名
      Lee D, Oka T, Hunter B, Robinson A, Papp S, Nakamura K, Srisakuldee W, Nickel BE, Light PE, Dyck JRB, Lopaschuk GD, Kardami E, Opas M, and Michalak M
    • 雑誌名

      Plos One

      巻: 8 ページ: e56387

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Current status of hepatic glycogen storage disease in Japan: clinical manifestations, treatments and long-term outcomes.2013

    • 著者名/発表者名
      Kido J, Nakamura K, Matsumoto S, Mitsubuchi H, Ohura T, Shigematsu Y, Yorifuji T, Kasahara M, Horikawa R and Endo F
    • 雑誌名

      J. Hum. Genet.

      巻: 58 ページ: 285-292

    • DOI

      10.1038/jhg.2013.17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] VLCAD deficiency in a patient who recovered from VF, but died suddenly of an RSV infection.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto A, Nakamura K, Matsumoto S, Iwai M, Shigematsu Y, Tajima G, Tsumura M, Okada S, Mitsubuchi H, Endo F.
    • 雑誌名

      Pediatr Int.

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/j.1442-200X.2013.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] p.E66Q Mutation in the GLA Gene is Associated with a High Risk of Cerebral Small-Vessel Occlusion in Elderly Japanese Males.2013

    • 著者名/発表者名
      Nakamura K, Sekijima Y, NakamuraK, Hattori K, Nagamatsu K, Shimizu Y, Yazaki M, Sakurai A, Endo F, Fukushima Y, Ikeda S
    • 雑誌名

      Eur J Neurol

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/ene.12151.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of a novel mutation and prevalence study for fabry disease in Japanese dialysis patients.2012

    • 著者名/発表者名
      Nishino T, Obata Y, Furusu A, Hirose M, Shinzato K, Hattori K, Nakamura K, Matsumoto T, Endo F, Kohno S
    • 雑誌名

      Ren Fail.

      巻: 34 ページ: 566-570

    • DOI

      10.3109/0886022X.2012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of body mass index-z score on adverse levels of cardiovascular disease risk factors2012

    • 著者名/発表者名
      Katsuren K, Nakamura K, Ohta T
    • 雑誌名

      Pediatr Int.

      巻: 54 ページ: 200-204

    • DOI

      10.1111/j.1442-200X.2012.

    • 査読あり
  • [学会発表] Newborn Screening in Japan.2012

    • 著者名/発表者名
      Nakamura K
    • 学会等名
      The 10th Asia-Pacific Conference on Human Genetics
    • 発表場所
      Crowne Plaza, Kuala Lumpur, Malaysia
    • 年月日
      20121206-20121208
  • [学会発表] Screening for Fabry Disease in Japan.

    • 著者名/発表者名
      Nakamura K
    • 学会等名
      2012 Joint Conference of Medical Genetics, Genomics & Korean LSD Symposium.
    • 発表場所
      Asan Medical Center, Seoul, Korea
    • 招待講演
  • [学会発表] Overview of Japan Newborn Screening Experience for Pompe Disease

    • 著者名/発表者名
      Nakamura K
    • 学会等名
      14th Asia LSD Symposium
    • 発表場所
      Grand Hyatt Beijing Chaina
    • 招待講演
  • [学会発表] Screening for Fabry Disease in Japan.

    • 著者名/発表者名
      Nakamura K
    • 学会等名
      4th International Forum for Lysosomal Storage Disease
    • 発表場所
      Jikei University Auditorium, Tokyo
  • [図書] 尿素サイクル異常症 小児疾患の診断治療基準 第4版 小児内科 第44巻増刊号2012

    • 著者名/発表者名
      中村公俊
    • 総ページ数
      1132
    • 出版者
      東京医学社 (2012)

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公開日: 2014-07-24  

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