研究課題/領域番号 |
23591509
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
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研究分担者 |
青山 峰芳 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70363918)
垣田 博樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40528949)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アストロサイト / 血管内皮細胞 / 血液脳関門 / インフルエンザ脳症 / サイトカイン |
研究概要 |
インフルエンザ脳症で高値を示すIL-6、IL-8、MCP-1などを始めとするサイトカイン、ケモカイン(他に IL-1beta、IFN-γ、TNF-αなど)が、血液脳関門を構成する細胞である、脳血管内皮細胞およびアストロサイトに与える影響について検討を行った。アストロサイトについては、ラット新生仔大脳皮質から初代培養したアストロサイトと、申請者らが、平成20年度に採択された科学研究費による研究において樹立したラットアストロサイトの不死化細胞株を用いた。一方、血管内皮細胞については、マウス脳血管内皮細胞の不死化細胞株を用いた。 今年度は、これら細胞に、 IL-1beta、IFN-γ、TNF-αを混合投与し作用させ、血液脳関門の透過性を変化させると報告のあるNOおよびその合成酵素であるiNOSの発現を中心に検討を加えた。アストロサイトにIL-1beta、IFN-γ、TNF-αを混合投与すると、mRNAおよびタンパクレベルで強力にiNOSの誘導が生じ、NOの産生も高まることが判明し、さらに、産生されたNOによりアストロサイトの細胞傷害が生じることも明らかになった。また、アストロサイトの細胞内シグナルの解析も阻害剤等を用い検討を加えている。一方、血管内皮細胞については、これらサイトカインの影響について、年度内に十分な結果を得ることが出来なかったため、引き続き実験を行っている。 一方、ラットアストロサイト不死化細胞株とマウス脳血管内皮細胞不死化細胞株を用いた血液脳関門を想定した共培養系については、コーティングを初めとした最適な培養条件の決定に手間取り、当初の予定通りの進捗が得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1,平成23年度では、ラットアストロサイト初代培養細胞を用い検討については、順調に研究を進めることが出来たが、血管内皮細胞を用いた研究については、年度内に予定していた内容まで検討を進めることが出来なかった。2,加えて、ラットアストロサイト不死化細胞株とマウス脳血管内皮細胞不死化細胞株を用いた血液脳関門を想定した共培養系を用い、そこにサイトカイン、ケモカインを作用させ、血管内皮細胞とアストロサイトの共存下における遺伝子発現変化、蛋白発現変化を検索することを目標としていたが、とりわけ血管内皮細胞の培養条件の決定に手間取り、これについても、予定通りの結果が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1,平成24年度においては、血管内皮単独培養系にサイトカイン、ケモカインを作用させた時の遺伝子発現変化、蛋白発現変化の検索を引き続き進める。2,ラットアストロサイト不死化細胞株とマウス脳血管内皮細胞不死化細胞株を用いた血液脳関門を想定した共培養系が安定してきているので、この培養系を用いて、当初の研究スケジュールにキャッチアップ出来るよう研究を推進する。3,これにより、当初平成23年度に予定していた、「サイトカイン、ケモカインによる血液脳関門機能変化」を検討する。具体的には、これら細胞を用いた共培養系に、インフルエンザ脳症で高値を示すIL-6、IL-8、MCP-1などを始めとするサイトカイン、ケモカイン(他に IL-1beta、IFN-γ、TNF-αなど)を血管内皮細胞側から単独または混合投与し作用させる。このモデルの血管内皮側(血管腔側に相当)にサイトカイン、ケモカインを投与し、物質透過性がどのように変化するか観察する。4,「サイトカイン、ケモカインが脳毛細血管内皮細胞とアストロサイトに与える遺伝子発現変化」を検討する。具体的には、上記3の実験に用いた脳毛細血管内皮細胞とアストロサイトをそれぞれ別々に回収し、細胞からRNAやタンパク、脳毛細血管内皮細胞側とアストロサイト培養側の細胞培養液を回収し解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度より持ち越した研究費は、研究が遅れている血液脳関門モデル培養系の培養用試薬、および、それらに作用させるサイトカイン等の購入に充てる予定である。当初より、平成24年度に予定していた費用は、予定通りの執行を行う予定である。
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