研究課題/領域番号 |
23591513
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
赤坂 真奈美 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00405797)
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研究分担者 |
亀井 淳 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70275551)
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
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キーワード | 7Tesla MRI / 超高解像度核磁気共鳴分光法 / 早産時 / 極低出性体重児 / 脳室周囲白質軟化症 / γ-aminobutyric acid / 発達予後 / 点頭てんかん |
研究概要 |
7Tesla 核磁気共鳴分光法(MRS:magnetic resonance spectroscopy)の先行研究として、平成23年度より当院倫理委員会の承認を得て、当院新生児集中治療室に入院した早産低出生体重児のうち、同意が得られた21例を対象に、退院前とその後3か月ごと12か月まで、前方視的な1.5Tesla MRSの撮像、神経学的評価と乳幼児発達検査を開始した。平成24年度は、全例の撮像を終了し、周産期情報、発達予後とともに解析を開始した。早産児のMRSはまだ有用性が確立されていない。そのため、まずはMRIに異常がなく、かつ修正6-9か月の精神発達が正常であった13例の、N-acetylaspartate (NAA)/creatine (Cr)、 choline (Cho)/Cr、myoinositol (Ins)/Crを計測し、正常基準値(コントロール群)を作成した。正常基準値の対象から除外した8例中、MRIに異常のあった児4例(脳室周囲白質軟化症PVL:periventricular leukomalasiaのみが2例、上衣下出血のみが1例、両方が1例)と外来で診断したPVL1例のNAA/Crについて、比較検討した。修正6-9か月の発達指数が80以上が2例(Group1)、80未満が3例(Group2)であった。退院時(新生児期早期)のNAA/CrはGroup1、2でコントロール群と有意な差がなかったが、修正6-9か月以降に行ったMRSで、Group1は基底核のNAA/Crはコントロール群と差がなかったが、Group2では明らかに低値であった。このことは、早産低出性体重児ではMRSを施行する時期によって(修正6-9か月以降)、NAA/Crが発達予後予測に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月に発生した東日本大震災の影響により、7Tesla 超高解像度核磁気共鳴分光法(MRS:magnetic resonance spectroscopy)によるGABA(γ-aminobutyric acid)計測法の確立に大きな支障をきたしている。同様に震災後に3Tesla MRIが故障し、撮像ができなくなったために、引き続き平成24年度も研究計画に遅れが生じている。まずは安全を最優先に、鎮静を必要としない症例から7T MRIの撮像を開始している。そのため、鎮静が必要な新生児の撮像に遅れが生じている。平成23、24年度は先行研究として当院倫理委員会の承認を得て、当院新生児集中治療室に入院した在胎34週未満の早産児かつ出生体重1,500g未満の極低出生体重児21名を対象に、既存の1.5Tesla MRSを開始し、3か月ごとにMRSおよび遠城寺式乳幼児発達検査、神経学的評価行い、修正12か月までの全データを収集し、周産期情報とともに解析を開始した。正常発達の13例の内訳は、出生週数は29±2週、体重は1,200±382gである。NAA/Crは月例とともに上昇し、Cho/Cr,Ins/Crは減少した。過去の報告にある正期産で出生した児と比較したところ、Cho/Crのみ低値であり、早産低出生体重児のその後の髄鞘化に影響している可能性が示唆されたため、引き続き検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、我々既設の1.5Tesla、3Tesla MRIで行っている自動化技術や、核磁気共鳴分光法(MRS:magnetic resonance spectroscopy)を超高磁場7 Tesla MRIに移植を行う。安定した計測が可能になるよう適正化ができ次第、健康ボランティアを用いてGABA(γ-aminobutyric acid)計測法の確立を目指し、撮像を開始する。脳室周囲白質軟化症(PVL:periventricular leukomalacia)の後遺症を残し、当院外来で経過観察中の学童期に達した痙性麻痺症例を対象に7 Tesla MRIをすでに開始しており、平成25年度は症例を増やす予定である。また平成24年5月から3Tesla MRIが再稼働したため、3Tesla MRSによるGABA計測の確立ができ次第、7Tesla MRSの先行研究として早産児および、PVL児の3Tesla MRIおよびMRSを開始する。3Tesla MRSでは、撮像したPVL児を知能正常群、精神発達遅滞群、点頭てんかん発症群にわけてNAA/Cr、Cho/Cr、Ins/Crのほかに、GABAについても比較検討する。先行研究として、平成23、24年度に行った早産かつ極低出生体重児の新生児集中治療室退院後の3か月ごとの前方視的な1.5Tesla MRS撮像および神経学的評価と発達調査および周産期情報の解析が終了したため、海外学会で成果発表を行うとともに、論文を仕上げ、投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は3Tesla MRSでGABA(γ-aminobutyric acid)計測が可能になり次第、早産低出性体重児の撮像を開始し、1.5Tesla MRSと比較する。そのため、データ整理に必要なプリンターカートリッジ、メモリーカードを請求した。また7Tesla MRSが安定して撮像可能になり次第、健康ボランティアに撮像予定であるため、搬送代、エックス線フィルム代、および謝金が必要である。早産児低出性体重児の1.5T MRSの成果を、第9回Asia Society for Paediatric Reserchで発表するため、マレーシアへの渡航費を申請した。3年間の総まとめとして、MRSのデータを整理するためのファイル、メモリーカード、プリンターカートリッジ、論文投稿のための英語校正・投稿料、別刷り料などを申請した。
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