研究課題/領域番号 |
23591519
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山下 裕史朗 久留米大学, 医学部, 准教授 (90211630)
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研究分担者 |
松石 豊次郎 久留米大学, 医学部, 教授 (60157237)
永光 信一郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30258454)
西 芳寛 久留米大学, 医学部, 講師 (20352122)
岡村 尚昌 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 助教 (00454918)
江上 千代美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50541778)
中島 範子 佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (10555080)
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キーワード | ADHD / 自閉症スペクトラム障害 / Summer Treatment Program / 治療 |
研究概要 |
[目的]平成24年8月に久留米市特別支援学校で第8回くるめSummer Treatment Program(STP)を実施し、24名のADHD児童が参加した。平成24年度は平成20~23年にSTPに初参加したADHD児のうちAutism Spectrum Disorder(ASD)を併存した子と併存していない子との比較を行った。 [対象と方法」平成20~23年に2週間STPに初めて参加した知的障害のないADHD児95名中、初めての参加児52名を対象とした。欠損dataがない 40名:ADHD単独児(ADHD-) 29名、ASD併存ADHD児 (ADHD+) 11名について行動得点(加点、減点、総合得点)、ADHD Rating Scale IVの変化を検討し、両群でSTP効果の違いがあるのかを検討した。 [結果]全ての評価項目でADHD-児とADHD+児でSTPの効果に違いは認められなかった。STP前後の主効果に有意差 (p<.05)がみられた項目は、○Point⇒総合点、加点、減点、○保護者評価⇒ADHD RSの不注意、多動・衝動性の改善、○担任評価⇒ADHD RSの不注意と、反抗挑戦性症状に傾向差 (p<0.1)あり。 [考察]今回、初回参加者のみの検討を行い、ADHD単独児とASDを併存したADHD児の加点、減点、総得点の改善は、両群で有意差がなかった。ただし、ASD併存児で通常のSTPの治療プログラムに乗れず、個別治療プログラムを行った例は検討から除外している。STPは、ADHDがある小児への行動修正プログラムであり、本来ASD児の行動修正プログラムではない。しかし、初めての参加で、通常学級主体か通級指導教室で週一回程度の指導を受けることでうまくいっているようなASD併存のADHD児童の場合は、2週間STPの参加が有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADHD児への集中治療プログラムであるくるめSTPを毎年順調に実行できており、毎年24名の参加がある。ドロップアウトも一名もいない。平成25年度も久留米市特別支援学校でのSTP実施が決定している。 平成24年のSTP参加児のうち、ASD併存児、非併存児に関するデータをさらに今年度は追加して検討していく予定である。研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は3年間の研究最終年度である。平成24年度のSTP参加者のデータを追加して検討を進め、論文化を目指したい。平成25年度のSTPでは、これまで行ってきたSTP前後の個別認知機能検査(PCを用いた実行機能を含めた検査)とは異なるタッチパネルを用いたStroop課題、逆Stroop課題を行いながら同時に前頭部のNIRS検査を行う予定である。STP前後でStroop課題の改善があるのか、前頭葉の血流量に変化があるのかを検討し、ADHD単独群とASD併存群とに両者の差があるのかも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は研究がうまく進み、消耗品費の使用が少なくて済んだため、25年度に繰り越して、25年度のSummer Treatment Program(STP)研究の消耗品に使う予定です。具体的には、STP参加児のゼッケン(名前を書いて行動観察)、質問紙郵送に用いる封筒などの印刷費などが今年度必要になるので繰り越し分で購入する。
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