研究課題
注意欠如多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder: ADHD)学童への2週間夏季治療プログラム(Summer Treatment Program: STP)を確立したが、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: ASD)を併存するADHD(ADHD+)児へのSTPの効果は確立していない。また診断・病態の客観的評価法も少ない。本研究はADHD+児へのSTPの有効性について検証すること、診断・病態に関する客観的評価法を開発することを目的とした。平成20~23年にSTPに参加した小学校2~6年生95名中、初参加児40名を検討対象とした。主要評価項目は、行動評価(加点、減点および総合獲得point)、STP前後の保護者、教師によるADHD Rating Scale(RS)および反抗挑戦性障害(ODD)尺度。ADHD児は29名、ADHD+児は11名であった。全ての評価項目においてADHD児とADHD+児とでSTPの効果に違いはなかった。STP前後の主効果に有意差 (p<.05)がみられた項目は、Point:総合点、加点、減点、保護者評価:ADHD RSの不注意、多動・衝動性改善、担任評価:ADHD RSの不注意であった。前腕回内回外運動の定量的評価システムを用いたADHD16名とADHD+4名の比較では、「テンポの追従性」においてADHD+群のスコアがADHD群よりも良く、「左右の協調性」と「姿勢の安定性」おいてADHD+児のスコアがADHD群を下回った。本検査は、ADHDとADHD+児の客観的鑑別法としての可能性が示唆された。最終年度は、Stroop課題中のNIRSをSTP参加者23名に行い、左前頭部の血流改善をSTP後に認めたがASD併存例が少ないため両群の比較検討はできなかった。
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