研究課題
小児期発症難治てんかんの病態を解明し治療法開発に寄与することを目的に、剖検脳での組織染色と患者髄液での解析を並行して進めた。(1).剖検脳でのautophagyに関する免疫組織化学的解析: West症候群(WS)の既往を有する仮死後遺症と滑脳症の大脳、ならびに進行性ミオクローヌスてんかんの病因として重要な歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の小脳で、パラフィン固定ヒト脳におけるautophagyマーカーLC3・p62に関する免疫組織化学的解析を行い、2013年10月11日第46回日本てんかん学会で口演発表した。WS既往例の大脳では、LC3染色では異常はなかったが、約半数で病因とは無関係にp62陽性astrocyte増加を認めた。DRPLAの小脳では、Purkinje細胞のLC3染色性低下とp62陽性astrocyteの増加を見出した。(2). 髄液での神経ペプチド・神経伝達物質の代謝研究: 乳児けいれんのてんかん原性を解明するため、乳児けいれん患者の髄液においてアミノ酸とモノアミン代謝物をHPLC測定により定量した。予後良好な胃腸炎関連けいれん患者における抑制性・興奮性アミノ酸の上昇と、モノアミン代謝物の低下を見出し、2014年4月12日第117回日本小児科学会で口演発表した(現在、英文学会誌に論文を投稿中)。(3).亜急性または再発・再燃を示すてんかん性脳症の病態解明: 80例前後の患者血清・髄液において、ラット・ヒト脳切片ならびにラット培養細胞での免疫組織化学染色によるスクリーニング、細胞内抗原に関するImmunoblot、細胞表面抗原に関するCell based assay、ELISAを組み合わせた網羅的解析を進め、約40%の症例で病態における抗神経抗体の関与を明らかにした。研究成果の一部をBrain Dev 2013;35(7):670-4に論文発表した。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Epilepsy
巻: 7 ページ: 50-52
Brain Dev
巻: 35 ページ: 670-674
10.1016/j.braindev.2012.10.003
Neuropediatrics
巻: 44 ページ: 61-66
10.1055/s-0033-1337337