研究課題
これまでの研究代表者のWiskott-Aldrich症候群の分子病態に関する研究成果を基盤として、ヒトCD34陽性造血幹細胞への変異WASPおよびWIP遺伝子導入とヒト化NOGマウスを用いたin vivoの実験系により、恒常的活性化変異WASPによるX連鎖好中球減少症および骨髄異形成症候群の発症機構、およびWIP欠損症の発症機構の解析を行うこととした。しかしながら従来予定していたWASP、WIP遺伝子のヒトCD34陽性細胞への遺伝子導入とヒト化NOGマウスを用いた解析は、CD34陽性細胞への遺伝子導入発現効率が悪く、実験の継続を中止せざるを得なかった。そこで、細胞株を用いた実験系を構築して、本研究計画を継続することとした。その結果、WASPはCos7細胞および骨髄球系細胞株K562において、一部細胞核内に局在すること、RNA polymerase IIと複合体を形成して細胞核内で遺伝子転写制御因子として機能すること、従来のリンパ球系細胞の発生と機能維持に関与するのみならず骨髄球系細胞においてもその分化増殖の調節維持に重要な遺伝子群の転写調節に関与していることを見出した。具体的には、野生型WASPと比較し、恒常的活性化変異WASPはより多く細胞核内に局在し、骨髄球系細胞の分化に重要なG-CSF受容体や造血幹細胞の維持に重要なRUNX1の転写調節を負に制御していることが、X連鎖好中球減少症と骨髄異形成症候群の発症機構の一因となることを報告した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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