研究課題
本研究の当初目標は、出生コホートを形成し、出生時に臍帯を採取、そこから線維芽細胞を培養しその性質を調べ、コホート対象者の1歳時の感作、アトピー性皮膚炎(AD)、喘鳴等のアウトカムとの関連を調べ、新生児期の臍帯由来細胞の表現型にアウトカムの予測につながるものがあるかどうかを明らかにすることであった。コホートには306例がエントリーされた。1ヶ月の乳児検診では282名、6ヶ月に達した者277名、1歳までフォローアップされ解析対象となり得た参加者は235名となった。臍帯からの細胞を保存できたものは、203名であった。1歳時にADと診断された児は13.2%であった。臍帯由来細胞については、細胞へRSウイルス(RSV)、ライノウイルス(RV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)を感染させた場合の各種サイトカインの分泌量を検討した。その結果、RVの刺激で、IL-25、TSLP、INF-αが分泌され、PIVの刺激では、主にIL-33、IFN-β1、IFN-λ1が分泌され、RSVでは、調べたサイトカインの中で分泌促進されたものは無かった。IL-25の分泌は、細胞ラインごとの差が大きかった。また、生後1ヶ月、6ヶ月時に児の頬部のブドウ菌の定着があるかどうかを調査し、1歳時におけるADの有無との関連を調べた。生後6ヶ月時に黄色ブドウ球菌の定着がなかった児122名のうち5.7%、定着があった児113名のうち21.2%がADと診断され、黄色ブドウ球菌の定着はADと関連を示した(P<0.001)。生後1ヶ月時のブドウ球菌の定着とADとの有意な関連は無かった。生後6か月の黄色ブドウ球菌定着は卵白感作と有意に関連した(P=0.011)。このことから、乳児期後半の皮膚のブドウ球菌の定着は、その後のADの発症へ影響を与えている可能性が示唆された。
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Allergology International
巻: 63 ページ: 1-5
JOHNS
巻: 30 ページ: 1-5
http://www.genepi.megabank.tohoku.ac.jp/allergy_genetics/