研究課題/領域番号 |
23591534
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松井 永子 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (90334929)
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キーワード | アレルギー / 環境因子 / 遺伝子 |
研究概要 |
アレルギー疾患発症にかかわる遺伝、環境要因の相互作用を検討する目的で、出生前、出生後の生活環境の詳細な調査を行い、アレルギー疾患発症との関連性について検討した。また、臍帯血のバイオマーカーから、アレルギー疾患発症と関連する因子を抽出すしている。さらに、自然免疫系のシグナル伝達系に存在する遺伝子多型を含めて、遺伝子多型を解析し、アレルギー疾患発症との関連性を検討した。以上の検討より抽出した因子の相互関係について統計学的に検討し、最終的にはどの因子にどの因子が加わると発症、増悪を引き起こすかについて明らかにする予定である。 今年度は、平成23年度に得られた結果をもとにして、生後6カ月の生活環境調査とアレルギー疾患発症を確認した。また、生後6カ月になった際の生活環境に関わるアンケート用紙を配布し、保護者に記入していただいた。アンケート調査の内容は、本人の食生活、主に過ごした部屋の環境、感染歴、ペットへの曝露などである。保護者の同意が得られた場合は、対象者より採血を行い、臍帯血と同様にその血液成分、細胞成分を評価した。検討項目は、IgE、好酸球数、リンパ球表面マーカー、細胞内サイトカインである。さらに、末梢血単核球分画を分離し、刺激を加えた後、培養して培養液中に産生される各種サイトカインを測定した。生後6か月のアレルギー発症は、食物アレルギーが主であり、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎は未発症であった。食物アレルギー児とアレルギーを発症していない児との間にTGF-β1の産生量に違いを認めている。次年度には、アレルギー疾患発症にかかわる因子のさらなる検討を行い、関連する因子を明確にしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は以下の4点である。 (1)出生前、出生後の生活環境の詳細な調査を行い、アレルギー疾患発症との関連性について明らかにする。 (2)臍帯血のバイオマーカーから、アレルギー疾患発症と関連する因子を抽出する。 (3)自然免疫系のシグナル伝達系に存在する遺伝子多型を含めて、遺伝子多型を解析し、アレルギー疾患発症との関連性を明らかにする。 (4)上記で抽出した因子の相互関係について統計学的に検討し、どの因子にどの因子が加わると発症、増悪を引き起こすかについて明らかにする。 23年度には、出生前の生活環境の調査票の回収および、出生時には、臍帯血を採取し、種々のバイオマーカーを測定した。さらに、24年度では、生後6か月になった対象児のアレルギー発症について確認し、アレルギー疾患発症児と非発症児におけるバイオマーカーのちがいについての検討を行った。さらに、アレルギー疾患のなかでも、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎といった表現型にわけて検討を加えている。これらは、当初の計画どおりの進行状況であるため、現在までの達成度としては、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、生後1歳の生活環境調査とアレルギー疾患発症の確認を中心に研究を行う予定である。具体的には、生後1歳になった際に、生後6カ月と同様の生活環境に関わるアンケート用紙を配布し、保護者に記入していただく。アンケート調査の内容は、本人の食生活、主に過ごした部屋の環境、感染歴、ペットへの曝露などである。保護者の同意が得られた場合は、採血(5ml)を行い、臍帯血と同様にその血液成分、細胞成分を評価する。検討項目は、IgE、好酸球数、リンパ球表面マーカーや、細胞内サイトカインをフローサイトメーターにて測定する。さらに、末梢血単核球分画を分離し、刺激を加えた後、培養して培養液中に産生される各種サイトカインを測定する。測定するサイトカインは、IL-12,IL-18,PHA刺激による培養液中のIFN-γ、IL-4, LPS刺激によるIL-12等を予定している。 また、研究最終年度にあたるため、これまでに収集したデータ(遺伝子多型、IgE、好酸球数、リンパ球表面マーカーや、細胞内サイトカイン、培養液中のIFN-γ、IL-4, IL-12産生量とアンケート調査よりえられた生活環境)を用いて、アレルギー発症に関わる要因について統計学的な検討を行い、得られた成果を取りまとめ、成果の発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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