研究課題
本研究の目的は、アレルギー疾患発症にかかわる遺伝、環境要因の相互作用を検討することである。そのため、出生前、出生後の生活環境の詳細な調査を行い、アレルギー疾患発症と関連する生活環境因子を抽出した。また、臍帯血および経過観察中の末梢血を用いて、リンパ球表面マーカー、細胞内サイトカインを測定した。さらに、末梢血単核球分画を分離し、刺激を加えたあと、培養し、培養液中に産生される各種サイトカインを測定した。DNAを用いて気管支ぜんそくとの関連が報告されている遺伝子多型の確認も行った。これらのさまざまなバイマーカーとアレルギー疾患発症との関連性を検討した。以上の検討より、抽出した因子の相互関係について統計学的に検討し、因子間の相乗効果についても検討した。昨年までの生後6か月までのアレルギー発症は、食物アレルギーが主体であり、気管支ぜんそく発症との関連は検討できなかったが、今年度の追跡調査により、生活環境と気管支ぜんそくの発症との関連検索では、気管支ぜんそくの家族歴や、本人がかぜをひいたときにぜいぜいするもしくは運動したときにぜいぜいするといった項目が陽性の場合、高率に気管支ぜんそくを発症していることが明らかになった。さらに、遺伝子多型との関連検索では、ADRB2(R16G)がAA genotypeの場合に有意に気管支ぜんそくを発症していた。また、これらの因子が相乗的に気管支ぜんそくの発症に関わっている可能性も示唆された。
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