研究課題
X-linked agammaglobulinemia (XLA)はB細胞の分化に必須の、BTK遺伝子の異常により発症する。病因が明らかな抗体産生不全症としては最も頻度が高い。定期的なガンマグロブリン補充により重篤な感染症の予防は可能であるが、長期経過に関しては不明な点が多い。今回、XLA2家系4症例の長期経過について検討した。家系1はBTK遺伝子にL111Rのミスセンス変異を有していた。発端者はIgGのトラフ値が十分に保たれていても、胸膜炎、下肢の骨髄炎などの重篤な深部感染症に罹患した。胸膜炎はヘリコバクターによる日和見感染によるものであり、カルバペネム系の抗生剤により、一旦、炎症反応は改善したが、エンドトキシンの異常高値が持続した。しかし、骨髄炎罹患時の抗MRSA薬の投与に伴い、エンドトキシンは正常化した。発端者のおいは、1歳時に腸炎関連痙攣に罹患した。IgGのトラフ値は十分に保たれていた。家系2のBTK遺伝子変異はスプライスドナーサイトの変異(IVS11+3G→T)であり、エクソン11がスキップする。発端者(38歳)とそのいとこには、重篤な感染症は発症していない。発端者には、IgM,IgAが血中に認められ、また、正常なBTKの遺伝子を発現するリンパ球も存在した。発端者のおいは、ガンマグロブリンの皮下注を1週間に1回、在宅で試行しているが、易感染は認められていない。XLAの感染予防には、IgGのトラフ値を十分に保つことが重要である。ガンマグロブリンの補充は在宅での皮下注も選択可能になり患者のQOL向上につながっている。しかし、十分にIgGが存在していても臨床経過は症例によって異なることを念頭において個々の症例をフォローする必要がある。
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