研究課題
H25年度はAML細胞に対する抗メチル化薬の効果について検討した。海外の報告では移植後再発例や、強力な化学療法の続行が不可能な老人で投与が行われ、一部の患者で効果が得られている。複数のAML細胞株で抗メチル化薬である5-azacitidine(5-Aza)や5-aza-2-deoxicitidine(dacogen)のIC50を調べたがmicroM単位と高値であった。1997年―2011年までに岡山大学病院小児科で治療されたAML患者13名の初発時、寛解時、再発時検体(3名)を用いてMLPA法で計24個の癌抑制遺伝子のプロモーター領域のメチル化解析を行った。7名(53.8%)の初発時検体でメチル化が認められた[平均2.4個(1-5), CDH13、cyclin CDKN2B、CADM1、ESR1)、TP73 など]。寛解期検体や正常コントロール検体ではいずれもメチル化が認められなかった。再発の3例については初発時と同様のメチル化がみられるものと、消失しているものに分かれていた。これまでの報告でもこれらのがん抑制遺伝子のメチル化は予後との関連が示唆されていた。また複数のAML細胞株でもこれらの遺伝子のメチル化が確認されている。このため抗メチル化薬の臨床応用にあたっては、高メチル化しているAML subgroupの同定が重要と考えられた。5-AzaとTKIの相乗効果を示唆する報告もあり、検討中である。またその他の新規薬剤としてHDAC阻害剤、proteosome 阻害剤、HSP90阻害剤などの新規候補薬剤の検討を行った。HDAC阻害剤(depsipeptide)はIC50が1-13nM、proteosome阻害剤(bortezomib)はIC50 1-8nMと有意に低い値を示したが、HSP90阻害剤である17-AAGは細胞株によってばらつきがみられた。HDAC阻害剤としてバルプロ酸とcytarabine (AraC)との相乗効果は認められなかった。現在臨床応用可能なLBH589(panobinostat)のとCyAやdaunorubicinの相乗効果を示唆する報告もみられ、検討中である。この他AMLに関する遺伝子解析を行った。
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