研究課題
小児の急性リンパ性白血病(ALL)治療に重要なグルココルチコイド(GC)の一種、デキサメサゾン(DEX)へ感受性を有するALL細胞株から1x10-6μmol/Lの濃度でも細胞死を来さない耐性株を4つの細胞株から誘導・樹立した。感受性株ではいずれもDEX投与によってBimなどの細胞死関連蛋白のmRNAやタンパク質発現が誘導されたが、耐性細胞ではこれらの発現を認めなかった。またGC受容体αサブユニット(GRα)の発現は耐性株では感受性株に比べて低下を認めた。昨年に引き続きBimの発現抑制作用が考えられているmiR 17-92クラスターの発現解析を行うとともに、本年度はGRα発現抑制作用が考えられているmiR142-3pについても発現の解析を行った。その結果、いずれも耐性株ではmicroRNAの発現が上昇しており、DEX誘発細胞死の抑制機構への関与が疑われた。次にmiR142-3pについて、agonisticな働きを有するmimic、および阻害作用を示すinhibitorのトランスフェクションの実験を行ったが、いずれもDEX誘発細胞死への影響は認めなかった。GC耐性誘導でGRの発現は低下し、miR-142の発現も著明に上昇しており、耐性化機序においてmiR関与の可能性が示唆されたにもかからわずmiR-142-3p導入で細胞死誘導は低下しなかったのは、GR発現を時系列で確認しGC投与時期を決める必要があった可能性もある。またmiR-142-3p阻害で細胞死は増加しなかったが、miR-17~92(Bim抑制)等、他のmiRの関与により細胞死が抑制されている可能性がある。またmiR-142-3p導入効率の改善で細胞死誘導の低下が生じる可能性があると考えられた。新鮮サンプルにおいてのソーティングについては、細胞数やバイアビリティーの影響で十分なmRNA量が得られなかったため、さらに系の改良をおこなっていく予定である。
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Cancer Med
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10.1002/cam4.221
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