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2011 年度 実施状況報告書

Rabファミリー低分子量G蛋白質の神経芽腫がん幹細胞の発生・分化における機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 23591540
研究機関神戸大学

研究代表者

西村 範行  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00322719)

研究分担者 早川 晶  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40379376)
西尾 久英  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80189258)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード神経芽腫 / がん幹細胞 / Rab15 / 選択的スプライシング
研究概要

神経芽腫は、神経堤細胞が交感神経系へ分化する過程で発生する代表的な小児難治性固形がんで、小児がん死亡の約1/6を占めている。特に、半数以上が再発する高リスク群患者の長期生存率は未だ40%に達していない。その予後改善には、再発の起源と考えられる神経芽腫がん幹細胞の発生・分化機構の理解が不可欠である。神経芽腫がん幹細胞の正確な起源は未だ明らかになっていないが、ホルモンや神経伝達物質の分泌を司り、接着分子/軸索ガイダンス分子の移動や膜成分の再配置を制御する細胞内小胞輸送が、神経芽腫がん幹細胞の発生・分化に必須の役割を果たすと考えられる。そこで申請者らは、細胞内小胞輸送の中心的な制御因子であるRabファミリー低分子量G蛋白質(Rab)の神経芽腫がん幹細胞の発生・分化における機能解明を試みている。本年度の研究では、高リスク神経芽腫患者の腫瘍組織および骨髄検体から神経芽腫細胞を樹立し、神経芽腫細胞をスフェアーとして培養することによって、再発の起源と考えられるがん幹細胞を単離した。がん幹細胞において発現量の変化するRabを検索する過程で、脳特異的なRabとして報告されていたRab15の新規アイソフォームを発見した。神経芽腫がん幹細胞では、選択的スプライシングによって生成される少なくとも4つのRab15アイソフォームの発現を検出した。神経特異的なRab15-CN-アイソフォームとその他3つのアイソフォームの発現量の比をRab15アイソフォーム・バランスと定義すると、Rab15アイソフォーム・バランスは、神経芽腫がん幹細胞の分化に伴って低下し、神経芽腫におけるがん幹細胞と非がん幹細胞を鑑別するバイオマーカーとしての可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経芽腫がん幹細胞の発生・分化に関わるRabの同定を目指して、がん幹細胞において発現量の変化するRabを検索した。その過程で、Rab15の新規アイソフォームを発見し、Rab15の選択的スプライシングが神経芽腫がん幹細胞と非がん幹細胞を鑑別するバイオマーカーとなり得る可能性を示すことができた。神経芽腫がん幹細胞のバイオマーカーは、がん幹細胞の発生・分化の評価に必須であり、本年度の研究はおおむね順調に進展した。

今後の研究の推進方策

神経芽腫がん幹細胞において発現量の変化するRabからがん幹細胞の発生・分化に関与するRabを同定することを目指して、以下の実験を行っていく。(1)神経芽腫がん幹細胞の発生・分化に関わるRabの同定と機能解析: 神経芽腫がん幹細胞において発現量の変化したRabについて、GTP結合型変異体を発現した神経芽腫細胞、GDP結合型変異体を発現した神経芽腫細胞、過剰発現した神経芽腫細胞、およびノックダウンした神経芽腫細胞を樹立し、ニューロスフェアーに準じた条件下で培養した時に形成されるスフェアーの数を解析する。コントロールと比べてスフェアーの数が増加または減少したRabを、神経芽腫がん幹細胞の発生・分化に関わるものと同定していく。さらに、同定したRabのDNA合成能、細胞増殖速度、細胞運動能、軟寒天培地コロニー形成能および免疫不全マウスでの腫瘍形成能を解析していく。(2)同定したRabの標的蛋白質(複合体)の同定と機能解析: 同定したRabの神経芽腫がん幹細胞の発生・分化に関わる働きを担う標的蛋白質(複合体)をYeast two-hybrid法を用いて同定し、それらの機能解析を行っていく。(3)同定したRabの上流/下流シグナルの同定と機能解析: 同定したRabを過剰発現した神経芽腫細胞とノックダウンした神経芽腫細胞における遺伝子発現をDNAマイクロアレイによって解析し、同定したRabと共に発現変化する遺伝子(群)を候補として、上流/下流シグナルを同定していく。

次年度の研究費の使用計画

今年度と同様、一般試薬、培養用器具、ガラス器具、実験動物等を消耗品費として、研究打合せおよび学会発表の旅費、研究成果発表のための学会誌投稿料をその他として計画している。また、本研究課題で必要となる基本的な実験設備、細胞培養実験室(P2実験室)、動物実験施設等は十分に整っており、設備備品費は計画していない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Rab15 alternative splicing is altered in spheres of neuroblastoma cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Pham, T.V.H. et.al.
    • 雑誌名

      Oncol. Rep.

      巻: 27 ページ: 2045-2049

    • DOI

      10.3892/or.2012.1731

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Epigallocatechin gallate inhibits sphere formation of neuroblastoma BE(2)-C cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Nishimura, N. et al.
    • 雑誌名

      Environ. Health Prev. Med.

      巻: 17 ページ: 246-251

    • DOI

      10.1007/s12199-011-0239-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rab15 expression correlates with retinoic acid-induced differentiation of neuroblastoma cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Nishimura, N. et. al.
    • 雑誌名

      Oncol. Rep.

      巻: 26 ページ: 145-151

    • DOI

      10.3892/or.2011.1255

    • 査読あり
  • [学会発表] 茶カテキンの神経芽腫がん幹細胞に対する抗がん作用の検討2012

    • 著者名/発表者名
      西村範行
    • 学会等名
      第82回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      京都大学吉田キャンパス
    • 年月日
      2012年3月25日

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公開日: 2013-07-10  

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